現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の一つの柱である軟骨無形成症(ACH)の肥満判定基準となる体格指数を導き出すための検討を進めた。ACH症例24例に対して、DEXA(dual energy X-ray absorptiometry)法による体脂肪率(%BF)を測定し、身体計測的なパラメーターによる肥満の指標の有用性について検討した。身体計測(身長、体重、腹囲、臀囲)からBMI、肥満度、腹囲/身長比(W/H)、腹囲/臀囲比(W/hip)、臀囲/身長比(hip/H)を求め、肥満の診断基準に該当するかを検討した。さらに各指標と%BFの相関を検討した。結果としては、肥満の基準を満たした割合は、%BFは男25.0%, 女21.4%。身体計測的なパラメーターとして、肥満度では男 94.0%, 女92.3%、BMI(SD)では、男25.0%, 女子21.4%、BMI(%)では、男53.0%, 女35.7%、W/Hでは男 81.8%, 女子 71.4%であり、BMI(SD)以外で肥満と判定される比率が高かった。また、男女共に%BFと有意な相関を示したパラメーターは、W/H (男 r=0.746, p=0.013, 女r=0.857, p=0.003)、hip/H (男 r=0.857, p=0.003, 女 r=0.944, p=0.001)であり、BMI-SD、BMI percentileは女児のみ有意な相関を認めた。一方、肥満度、W/hipは有意な相関は示さなかった。ACH小児ではW/H, hip/Hが%BFと関係している事が示唆された。一方、肥満度、W/hipは肥満を過大評価するため、ACH症例では肥満の評価に適さないことが示された。さらに症例数を増やして検討するとともに、インスリン抵抗性およびメタボリックシンドロームの評価についての検討を行う。そのための症例の集積およびデータ収集は順調に進展している。
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