研究課題/領域番号 |
18K07879
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
三木 崇範 香川大学, 医学部, 教授 (30274294)
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研究分担者 |
太田 健一 香川大学, 医学部, 助教 (50403720)
鈴木 辰吾 香川大学, 医学部, 講師 (50451430)
横山 俊史 神戸大学, 農学研究科, 助教 (10380156)
割田 克彦 鳥取大学, 農学部, 准教授 (40452669)
金西 賢治 香川大学, 医学部附属病院, 准教授 (10263906)
日下 隆 香川大学, 医学部, 教授 (50274288)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 腸内細菌叢 / 中枢神経 / 情報伝達 / 肥満 / 生活習慣病 / 代謝調節 |
研究実績の概要 |
脳発達期におけるストレス(母子分離)曝露が惹起する脳と末梢(腸管)の双方向シグナル伝達機構の破綻の可能性と将来の肥満・生活習慣病との関りについての知見をえることを目的とした研究である。 Wistar系新生仔ラットを、4-9日齢、10-15日齢、6時間/日 母仔分離分離し、脳発達期のストレス曝露モデルを作製した(これは申請者らのグループで確立されている)。対照群は、通常飼育した。21日齢大腸内糞便を採取した。糞便サンプルは、ビーズ式破砕装置セルデストロイアーPS2000を用いてゲノムDNAを抽出し、16S rRNA領域配列を用い解析した。Real Time PCR法、次世代シーケンサーによるメタゲノム解析にて腸内細菌叢の解析を外注している。メタゲノム解析では次世代シーケンサーを用いて1検体あたり100,000リードを目標として腸内細菌叢の動態変化の網羅的な解析を実施した。 ストレス曝露した動物においては、腸内細菌叢のうちある特定の種の変化が優位に観察されている。この原因について過去の報告を元に考察中である。これと並行して、脳の解析を行っており、脳由来神経栄養因子BDNFを大脳皮質由来の初代培養神経細胞に投与したところ、特定の遺伝子発現量が有意に減少した。この遺伝子は血液中の中性脂肪やLDHの動態変化に関与することが報告されており、脳発達期のストレス(母子分離)曝露は、BDNFの変化や上記の特定遺伝子の発現量変化を介して、全身性に脂質代謝に影響を及ぼしている可能性が示唆される結果を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗はおおむね順調に進んでいる。 モデル動物の作成に引き続き、腸内細菌叢の解析を次世代シーケンサーを用いて解析している。解析が軌道に乗るまでに多少の時間ロスが生じたが、現在は順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画の通り、今後は脳と腸管をつなぐ相互の情報ネットワーク機構とその調節様態についての知見を得るための研究に移る。 脳と腸管をつなぐ神経系-自律神経と迷走神経を介する神経性シグナル伝達機構について詳細に評価する。特に、神経毒性を有する化学物質を投与して徐神経を行い、その際の腸内フローラの動態変化や中枢とくに視床下部の変化をc-fosの発現を指標として分子生物学的に解析し、次研究に繋げたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会参加費・研究情報収集のための旅費を計上していたが、研究試薬等の消耗品の購入を優先する方針を取った。また、年度の最後の時期に、業者によるキャンペーン価格で購入できたため予定する試薬は揃ったが結果として少額ながら余剰となった。
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