ヒトパルボウイルスB19は伝染性紅斑の原因であるが、伝染性紅斑以外にも血液疾患をはじめ、急性・慢性関節症、急性脳症、急性肝炎など、多彩な臨床像を呈することが知られている。その感染宿主 はヒト骨髄中の赤血球前駆細胞のみとされている。B19ウイルスの感染許容細胞が極めて限局的である一方で、B19ウイルスはゲノム変異が少ない とされるDNAウ イルスにもかかわらず、RNAウイルスにも匹敵するほどの比較的高率の変異が生ずることが近年わかってきた。 特定の部位における変異と病態との間に関連性 がないかを検討することを今回の研究の目的とした。 ヒトパルボウイルスB19の標準的なゲノムを含むプラスミドpC1B19を使用するが、このプラスミドはSV40 oriを持ち、COS7細胞に感染させるとゲノム複製、転写物作製、タンパク発現を生じさせることができる。それぞれ変異のある株の塩基配列を導入することより実験を開始することとし、Overlapping PCRを用い て、ゲノム変異を導入することにしたが、PCRによる 増幅が不安定であり、ゲノム変異の導入に難渋した。各変異が導入できた後に、pC1B19変異プ ラスミドをリポフェクタミンを用いて COS7 細胞にトランスフェクトする次の段階に入っていく予定であったが、今年度までOverlapping PCRまでの段階まで進んだところとなっている。 今後、本研究代表者は後進に道を譲り、本研究の継続を期待している。
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