研究課題/領域番号 |
18K07882
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
飛田 秀樹 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00305525)
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研究分担者 |
清水 健史 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (60398237)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 細胞移植 / オリゴデンドロサイト前駆細胞 / 低酸素虚血性白質傷害 / IGF-2 / 髄鞘化解析モデル / 豊かな環境飼育 |
研究実績の概要 |
「オリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を用いた細胞療法」の新たな治療法の探索に向け、補助事業期間中の研究実施計画は、1)移植OPCのPWMIモデル脳内での長期生着と分化・成熟の確認、2)大脳皮質での髄鞘形成の正常化と協調運動機能の改善との関連性の検証、3)移植OPCによる機能再構築のメカニズムの解明、である。 2019年度の実績としては、低酸素虚血性白質傷害(PWMI)モデルラットの脳内に増加しているインスリン様成長因子2型(IGF-2)が、培養OPCに対する生理作用を解析し、IGF-2単独投与において分化促進効果を示すことを明らかにした。また、混合グリア培養から得たGFP陽性OPCをPWMIモデルラットの脳内に細胞移植した後の分化度を検討し、移植3週後において脳梁でCC1陽性成熟OLGまで分化している細胞数が正常脳に移植した場合に比べ、少ないことを明らかにした。これら結果をまとめ、Cell Transplantation誌に投稿し、現在revise中である。 また、移植OPCのダイナミックな形態変化の解析にむけた予備的実験では、カーボンナノファーバーを軸索モデルとする髄鞘化解析がFRET法を用いて可能か否かについての検証を進め、その結果、細胞外マトリックスの固さを視野に入れたFRET法を用いた髄鞘化解析が有用であることが明らかになってきた。 さらに、PWMIモデルに対する発育期の豊かな環境飼育(自発的リハビリテーション)の影響を検討し、障害運動機能の改善が認められること、皮質内微小電気刺激による皮質マッピングが正常化している等、形態学的変化と機能的変化を明らかにしたため、現在論文投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GFP陽性OPCのPWMIモデルラット移植実験については、脳内において移植細胞に対する分化抑制作用が強いことが示され、この事実に関して論文投稿を行った。建設的なコメントが得られ、論文revise実験を進めている。 移植後のOPC髄鞘化促進に向けたin vitro髄鞘化解析系が構築されつつある。また自発リハビリテーションによる実験を新たに展開し、一定の成果を得たため、論文投稿に向け準備中である。 全体としては比較的順行に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
無駄な経費の節約を考えながら培養を中心に実施したこと、他研究費と共通で使用可能な消耗品が多くあったこと等から、当初の予定より経費使用が少なかった。 次年度に繰り越し、引き続き無駄な経費の節約を考えながら、免疫抑制剤による移植OPCの生着および分化の促進の解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
経費の節約に努めたため、わずかに残額が生じた。次年度以降の必要な実験に使用していく。
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