研究課題
「オリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を用いた細胞療法」の新たな治療法の探索に向け、期間中の計画は、1)移植OPCの低酸素虚血性白質傷害モデル脳内での長期生着と分化・成熟の確認、2)大脳皮質での髄鞘形成の正常化と協調運動機能の改善との関連性の検証、3)移植OPCによる機能再構築のメカニズムの解明、である。昨年度までに、モデルラット脳内に増加するインスリン様成長因子2型が培養OPCに対し単独投与で分化促進効果を示すこと、また脳内移植3週後にはCC1陽性成熟OLGへ分化した移植細胞の数が正常脳に移植した場合に比べ少ないこと等を明らかにし、論文に報告してきた。2121年度の実績概要は以下である。1)移植OPCのダイナミックな形態変化の解析モデル系として、カーボンナノファーバーを用いた髄鞘化機構をFRET法により解析した結果、太い軸索への髄鞘化ではより強い力が生じることを明らかにし、Frontiers of Neuroscience誌において報告した。2)GFP陽性OPCのモデルラットへの脳内移植では、サイクロスポリン投与により4週後および8週後ともに非投与群に比べ、より良い機能改善が得られる結果を得ている。また生存する移植細胞の数は投与群において有意に多く、現在、投与群において分化が促進しているか否かについて検討を行っている。その結果を含め、これまでの成果を論文に報告するための追加実験も進めている。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件)
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