1.研究開始当初の背景:1型糖尿病のインスリン療法は生理的インスリン分泌に近似したインスリン療法が可能になってきた。食事の内容に沿った食前のインスリンの調整方法には、食事中の炭水化物量に応じて超速効型インスリン量を計算するカーボカウントが普及している。一方で脂質・タンパク質を多く含む食事の場合には、カーボカウントの応じた糖質に対する追加インスリンだけでは食後3-4時間後以降の血糖上昇を認めることから、脂質・タンパク質を考慮した追加イスリンの投与が必要である。 2.研究の目的:1型糖尿病患者における、カーボカウントに加えて脂質・タンパク質摂取にも対応できる新規追加インスリン投与法の開発 3.研究の方法:ⅰ)1型糖尿病のモデル動物を用いた動物実験と、ⅱ)1型糖尿病の患者さんの実生活に基づいた臨床研究を同時進行で実施する。両者は、相互に成果を反映させながら実施する。 4.研究成果:ⅰ)マイクロミニブタに、血中グルコース値の持続モリタリングを可能にした状態でストレプトゾトシン投与により糖尿病状態にすることに成功した。インスリンを皮下注することで、約3ヶ月間飼育することができた。高純度タンパク質飼料(安定した給餌ができた。このように第一の目標である1型糖尿病モデル動物作成に成功した。 ⅱ)1型糖尿病の患者さんに油、タンパク質の多い食事を食べていただいた場合の検討の結果、油だけの摂取では血糖値は上昇せず、インスリン無しでステーキだけ食べていただいた場合には 3-5 時間後から血糖上昇があることを確認した。また同じタンパク質でも肉や魚など種類によっては異なることが分かった。 研究期間全体を通じて:1型糖尿病モデルブタの作成に成功し、1型糖尿病患者における脂質・タンパク質摂取にも対応できる新規追加インスリン投与法の開発応用段階へ入った
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