研究課題/領域番号 |
18K07885
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
野上 恵嗣 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50326328)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 血液凝固 / 第VIII因子 / トロンビン / 活性化第IX因子 / 高機能獲得型蛋白 / 活性型第VII因子 / 組織因子 / 結合様式 |
研究実績の概要 |
第Ⅷ因子-トロンビン制御軸 : トロンビンはFVIIIのArg372, Arg740, Arg1689を開裂して活性化させる極めて重要な相互反応である。今回、Arg372およびArg1689開裂に必須のトロンビン結合部位を各々346-349残基、1663-1666残基であることを初めて同定した。特に両者の結合残基は硫酸化Tyr残基を含有し、この蛋白修飾が必須であることも明らかにした。さらに、両結合領域を含んだ周辺領域はトロンビンとの結合親和性が高いhirugenのアミノ酸配列と類似するため、まず346-349残基を中心とした領域をhirugen配列に置換したFVIII変異体を作製した。本変異体はFVIIIのトロンビン活性化およびArg372開裂を野生株より増強させることがわかった。現在1663-1666残基の結合領域側も同様にhirugen配列に置換した変異体を作成中である。
内因系複合体による凝固制御軸 : 活性化されたFVIII(FVIIIa)はFIXaとFXでFXase複合体を形成して凝固反応を著しく促進させる。このFVIIIa分子上のFIXaおよびFX結合部位を我々は現在まで数多く同定してきたが、今回さらにFIXa結合には1793-1795残基、FX結合には400-409残基に存在することを同定した。
第Ⅷ因子-外因系因子(活性型第Ⅶ因子/組織因子)制御軸 : 活性型第Ⅶ因子/組織因子における第Ⅷ因子分子上結合様式において、FVIIIのC2ドメイン上に組織因子の膜貫通領域以外の部位との結合を報告した。この結合にはvon Willebrand因子が競合する、すなわち活性型第Ⅶ因子/組織因子における第Ⅷ因子反応にはvon Willebrand因子が制御していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した実験計画について、第VIII因子と各蛋白との結合様式の解明、高機能獲得型蛋白の同定など順調には進んできている。
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今後の研究の推進方策 |
現在まで順調には進んできているが、引き続き年次計画に従って、さらに進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画よりも消耗品(純化蛋白)がわずかに少なくてすんだことが挙げられる。翌年度の助成金と合わせて、当初計画での消耗品への使用を引き続き行なっていく予定である
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