第VIII因子(FVIII)-トロンビン制御軸:凝固因子蛋白FVIIIのArg372とArg1689を開裂活性化させるトロンビンのFVIII責任結合領域(346-349残基、1680/1683/1684残基)を最終的に同定できた。この領域は硫酸化Tyr残基を中心とした酸性残基領域であった。FVIIIA1酸性領域をhirugen(hirudin 54-65残基)配列に完全置換したFVIII-hirugen hybrid変異体はArg372開裂によるトロンビン活性化が野生株より1.5倍以上増強すること、本開裂がより即時に起こりえること、両者の結合反応が野生株に対して結合定数が増加していることを明らかにした。1680-1684領域ではTyr1680が重要であること、von Willebrand因子(VWF)存在下では本変異体(Y1680A)のトロンビン反応性低下が野生株同等のKdに改善しており、 VWF結合により構造上変化が結合に影響していることも明らかにした。本研究成果を論文(2編)としてpublicationさせることができた。 2. 内因系複合体 (FVIIIa/FIXa/FX)制御:FVIII1793-1795領域がFIXa結合領域であることを同定した。FVIIIa-FIXa結合親和性を高め、内因性FX複合体活性を増強する変異体(K1813A/K1818A)はFVIII欠乏血漿に添加しその凝固能も亢進していることもも示すことができた。
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