研究課題/領域番号 |
18K07886
|
研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
徳山 研一 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30237078)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 食物アレルギー / 神経原性炎症 / 神経ペプチド |
研究実績の概要 |
食物経口負荷試験実施の際にアナフィラキシー症状の出現前後で血液サンプルを採取する。CGRPなどの神経ペプチドの血漿中濃度、あるいはTRPV1などの侵害受容体の動態を、負荷試験時にアナフィラキシーを認めた児(アナフィラキシー出現群)、アレルギー症状の出現しなかった児(陰性群)、および誘発症状は出現するも皮膚症状のみなどアナフィラキシーには至らなかった児(非アナフィラキシー群)の3群に分け比較検討する。 対象:埼玉医科大学病院小児科及びアレルギーセンター通院中の食物アレルギーと診断されており、 家族の希望で食物経口負荷試験を実施する小児。以前当該食物を摂取し、アナフィラキシーを含むアレルギー症状が出現した児、あるいは血液検査にて特異IgE値が陽性であったため除去を開始し摂取経験のない児などが含まれる。研究プロトコールの概要:1)食物経口負荷試験:日本小児アレルギー学会 作成の“食物アレルギー経口負荷試験ガイドライン”に則り、入院させて実施する。患児の安全性を配慮し、試験は血管確保(静脈)してから開始する。症状が誘発された場合、症状の程度に応じて治療を行うとともに採血を実施する。負荷前、アナフィラキシーあるいは即時型症状出現時、回復時の最低3ポイント採取する。陰性群では負荷前後の2回採取する。採血は血管確保部位から採取し、負荷試験担当者とは別の連携研究者が実施する。2)検体の分離と測定:CGRP、 NKA、SP などの神経ペプチドや、ヒスタミン、トリプターゼなどの血中濃度を測定する。測定には市販の ELISA kit を用いる。特に神経ペプチドは血中に存在する neutral endopeptidase により容易に分解されやすいため、血漿採取の際アプロチニンの添付された容器で採取し、kit 添付のカラムを用いて抽出操作を迅速に行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CGRPなどの神経ペプチドは血中では酵素活性により、速やかに分解されてしまう。このため、ELISAによる測定系にもっていく前に、採取した血漿サンプルを分解される前に迅速に単離する必要がある。具体的にはEDTA加スピッツに血液とアプロチニンを入れて遠心分離後、バッファーを加えてカラムに通し、最終的に凍結乾燥したものを測定する。この工程に習熟するため時間がかかり、十分な検体数の測定に至らなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
CGRPの変化については、今後例数を増やして統計学的解析を実施する。他の神経ペプタイド、特にサブスタンスPやニューロキニンA の役割についても、負荷試験時に採血を実施し、負荷前、アナフィラキシーあるいは即時型症状出現時、回復時の最低3ポイント採取し、比較検討する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究に関連した国際的な研究演題の情報を収集する目的でH30年度開催の国際学会参加を予定していたが、学会参加時に予定していた当教室からの食物アレルギーに関する発表演題の準備が間に合わず、H31年度開催の国際学会に参加することとした。また、H30年度中に購入予定であった神経ペプタイド測定キットなどの消耗品は検体の測定手技の確立が遅れたため、発注数が予定より少なかった。H31年度以降に発注する予定である。
|