今後の研究の推進方策 |
研究1の本研究のターゲット遺伝子の一つであるPRDM6の動脈管における発現分布を検討するために、抗体を探索したところ、市販品には適当なものが見つからなかった。そこでPRDM6のコード領域をクローニングし、全塩基配列又は一部塩基配列に、HisタグをN末又はC末に結合したPRDM6ペプチドを大腸菌発現し精製して、マウスポリクローナル抗体の調製を実施する。 研究2のパスウェイ遺伝子の解析のために、RNA-seqの結果を十分に吟味・利用する。主要な遺伝子については、定量PCR法により発現を確認する。 研究3 転写因子複合体の同定のために、対象遺伝子(ベイト)をクローニングし、タグ(GSTなど)をつけて哺乳類細胞(293T細胞など)で発現・精製し、ウサギ満期胎仔動脈管(全又は核)抽出タンパク質とインキュベーションして、共沈するタンパク質をSDS電気泳動法により分離する。このため、ベイト遺伝子のクローニングをまず進める。C-FOSはすでに入手したので、HSP70、TFAP2B、PRDM6をクローニングし、タグをつけて、まず293T細胞や ラット平滑筋細胞株(A7r5)などの哺乳類細胞で発現させ、細胞内局在を確認する。続いて、GST融合タンパク質を用いたプルダウンアッセイにより相互作用するタンパク質の探索に進みたい。 動脈管の発達は、時期・部位特異的にエピジェネティックな転写制御を受ける可能性がある。一般にプロモーター領域のメチル化が増加すると、その遺伝子の発現は抑制される。研究4のプロモーターアッセイのために、対象遺伝子(TFAP2B, PRDM6, c-FOS, HSP70)のプロモーター領域について、まず通常のシークエンス解読を行いたい。最終的には、未熟・成熟胎仔動脈管のゲノムのバイサルファイト処理とシークエンス解読を行い対照と非処理と比較し、転写因子の活性化について検討したい。
|