現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究1(発現分布)については、ウサギc-FOSに対する抗体調製が不調であった。PRDM6のクローニングができず、抗体調製に進めなかった。 研究1, 3(転写因子複合体の同定), 5(In vitro実験)については、PRDM6とTFAP2Bのクローニングが不首尾であったことにより、進捗が遅れている。 研究2(パスウェイ遺伝子解析)に関しては、昨年度、家兎(未熟・成熟)胎仔動脈管と主肺動脈、さらに高酸素処理、低酸素処理した家兎成熟胎仔動脈管と主肺動脈のRNA-seq解析を実施した。この結果から、ターゲットとなりうる14候補遺伝子や関連を推測できる遺伝子を決めた。これら14候補遺伝子(タンパク質)の一部と関連を推測される遺伝子複数に対する市販抗体を用いて、家兎満期胎児動脈管に対する反応を検討した。家兎成熟胎仔動脈管と主肺動脈を同時に観察できる組織試料に対して、17種類(15 ターゲット遺伝子)を試したところ、主肺動脈や大動脈に比べて動脈管への反応性が高いものや、動脈管の一部に特徴がある分布が見られた。RNA-seq解析でわかるmRNAの発現に加えて、このタンパク質レベルの発現分布の結果は機能を解釈する上で重要である。今年度は、家兎未熟胎仔動脈管、高酸素処理、低酸素処理した成熟胎仔動脈管の組織標本(パラフィン切片)も作成できたことから、これらの試料を用いて、残りの候補遺伝子についても動脈管における発現分布を検出したい。
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今後の研究の推進方策 |
研究1の本研究のターゲット遺伝子であるc-FOSの動脈管における発現分布を検討するための抗体の調製を試みたが、大腸菌発現c-FOS部分ペプチド抗原としてマウスに投与したが、抗体は得られなかった。c-FOS遺伝子が哺乳類細胞で発現することは確認できているので、哺乳類細胞系でc-FOSタンパク質を発現させて、これを抗原として抗体を調製したいと考えている。 研究1, 3, 5に関しては、TFAP2B、PRDM6のクローニングを行ったが、発現しているトランスクリプトが予想のものと異なっていたためか、PCR増幅されなかった。これについては、RACE法を用いて、ウサギ胎仔動脈管に発現しているトランスクリプト種を調べつつクローニングしたいと考えている。その後、研究3 転写因子複合体の同定のために、対象遺伝子(ベイト)をクローニングし、タグ(GSTなど)をつけて哺乳類細胞(293T細胞など)で発現・精製し、ウサギ満期胎仔動脈管(全又は核)抽出タンパク質とインキュベーションして、共沈するタンパク質をSDS電気泳動法により分離する。このため、ベイト遺伝子のクローニングをまず進める。続いて、GST融合タンパク質を用いたプルダウンアッセイにより相互作用するタンパク質の探索に進みたい。 動脈管の発達は、時期・部位特異的にエピジェネティックな転写制御を受ける可能性がある。一般にプロモーター領域のメチル化が増加すると、その遺伝子の発現は抑制される。研究4のプロモーターアッセイのために、対象遺伝子(TFAP2B, PRDM6, c-FOS, HSP70)のプロモーター領域について、まず通常のシークエンス解読を行いたい。最終的には、未熟・成熟胎仔動脈管のゲノムのバイサルファイト処理とシークエンス解読を行い対照と非処理と比較し、転写因子の活性化について検討したい。
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