研究課題/領域番号 |
18K07892
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
古賀 靖敏 久留米大学, 医学部, 教授 (00225400)
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研究分担者 |
八ツ賀 秀一 久留米大学, 医学部, 講師 (10454919)
喜多村 美幸 久留米大学, 医学部, 助教 (70772911)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | GDF15 / 自己免疫性肝炎 / 原発性肝硬変 / 診断バイオマーカー / 病勢のバイオマーカー / 治療効果判定のバイオマーカー |
研究実績の概要 |
GDF15は、TGFベータ遺伝子ファミリーに属する生体内活性物質であり、ミトコンドリアエネルギー代謝の異常を反映して細胞から放出されるが、その生物学的意義はいまだ不明である。我々は、GDF15がミトコンドリア病の有用なバイオマーカーであることを発見し、また特許化し、世界に先駆けた体外診断薬の開発を行っている。今回、GDF15を用いた創薬治療の基盤研究を計画した。ミトコンドリア病の細胞モデル(MELAS型変異を有するサイブリド細胞)および動物モデル(マイトマウス)において、GDF15の投与による治療開発の基礎研究、および、糖尿病・メタボリックシンドロームの動物モデル(db/dbマウス)における治療薬としての可能性を検討する目的で、本研究を計画した。 研究遂行の過程で、多くの疾患群におけるGDF15の解析を継続していたところ、GDF15の全く新しい疾患群における診断および疾患重症度の評価としてのバイオマーカーの有用性を新たに発見した。この発見では、非ミトコンドリア病での臨床的疾患病型に類似性があり、今までの解析技術では鑑別が困難な疾患群として位置付けられていたが、今回の発見を通して、診断治療アルゴリズムが大きく変わる可能性がある。この新発見については、国内・国際特許の申請を予定している。 糖尿病・メタボリックシンドロームの動物モデル(db/dbマウス)における治療薬としての可能性を検討する研究も、まずは、BmNPV bacmid-silkworm expression systemを用いたGDF15のタンパク発現および精製GDF15のhuman cDNAの全長(Pro-GDF15)およびMature form(GDF15)をPCRで増幅した後、pFastBac HT 1 donor plasmid (Life Technologies)にサブクローンを実施している。クローンが完成次第、シルクワームに感染させ、成熟型たんぱくを生成する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
多くの疾患群におけるGDF15の解析を継続して行っていたところ、これまでは鑑別診断困難と考えられていた全く新しい疾患群に対して、GDF15が診断、治療、薬効のバイオマーカーになり得ることを発見した。この発見により、近い将来はこの疾患群における診断治療アルゴリズムが大きく改変される可能性もあり、ひいては早期の鑑別を可能にし、治療にも反映できるものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、この新たな疾患群におけるGDF15の統計解析を進め、国内・国際特許を申請した後に、一般紙に英語論文提出予定で進めている。このような研究は、世界的に初めてであり、世界に先駆けて体外診断薬の開発を行っている我々だからこそ可能なプロジェクトである。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は想定していたよりも消耗品の購入が少なかった。本課題は一定の研究成果が出ており、2019年度は学会等での発表の機会も増やす予定である。今後もGDF15のキットの購入は必要であるため、余剰金は使用可能と考える。
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