研究課題
単一遺伝性性糖尿病のうち、若年発症優性遺伝性糖尿病(MODY)が疑われる患者のうち、既知の高頻度MODY遺伝子(HNF1A,HNF4A,GCK,HNF1B)変異を認めない症例におけるミトコンドリア遺伝子異常の役割を検討する課題である。平成30年度は、コンセプトの該当性を確認するため、既に収集した検体を用いて高頻度MODY遺伝子(HNF1A,HNF4A,GCK,HNF1B)変異を認めない症例の遺伝形式について統計学的検討を行い、有意に母由来の遺伝が多いことを確認し、発表した(Pediatr Diabetes. 2018 Nov;19(7):1164-1172)。また、期間内にさらにおおくの該当検体を収集することとミトコンドリア遺伝子異常の高感度な検出手技の確立を行った。倫理委員会承認と対象者のインフォームドコンセントを得たうえで収集し、まずSanger法で高頻度MODY遺伝子の解析を行った。変異陽性患者を除外した上で、期間内に、あらたに変異陰性の110検体を収集できた。研究経過で、既知のGCK遺伝子変異を持つ家系内での妊娠経過とその治療にについて公表すべき新たな知見を得たため、報告した(Hosokawa et al. J Diabetes Invest 2019 Mar 21. doi: 10.1111/jdi.13046)。また、この過程でミトコンドリア遺伝子3243A>Gを有するものを6名同定した。一方、他の低頻度ミトコンドリア遺伝子異常を同定するための基礎的検討としてゲノムDNAからミトコンドリア遺伝子を3つの断片に分けて増幅し、次世代シーケンスによる高感度ヘテロプラスミーの検出系を立ち上げることに成功したが、検体によりシーケンス深度が想定より低くなるものがあり、今後さらに検討を加える予定である。
2: おおむね順調に進展している
予定通りの数の検体収集に成功した。ミトコンドリア遺伝子ヘテロプラスミーの高感度検出法についてもほぼ確立できた。
当初の予定通り、さらに検体を収集し主要MODY遺伝子に異常を認めないMODY様家系からのミトコンドリア遺伝子異常の可能性を検討する。
研究期間内に受理された論文の投稿料が年度末にクレジットカード立替となったため、支出が次年度に繰り越された。また、年度末購入予定であった、次世代シーケンスのための試薬が、業者在庫の不足のため次年度に持ち越された。次年度助成金による使用予定と合わせ、研究遂行のため予定通りの支出が必要である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
J Diabetes Investig
巻: in press ページ: in press
10.1111/jdi.13046
Pediatric Diabetes
巻: 19 ページ: 1164-1172
10.1111/pedi.12714