研究課題/領域番号 |
18K07895
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪市民病院機構大阪市立総合医療センター(臨床研究センター) |
研究代表者 |
依藤 亨 地方独立行政法人大阪市民病院機構大阪市立総合医療センター(臨床研究センター), 臨床研究センター, 部長 (60220779)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 遺伝子 / ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
我が国に多い若年発症2型糖尿病の病因としてのミトコンドリア遺伝子異常の役割を検討する研究である。令和2年度は下記の検討を行った。 (1)11歳未満で発症した典型的2型糖尿病患児13名と同等の高血糖を示す原因の明らかな糖尿病(既知のMODY)患児8名よりインフォームドコンセントを得たうえで末梢血DNAを採取した。2型糖尿病の中に未同定のMODY患児が含まれることを予防するため、既知のMODY1-14型の遺伝子異常14およびその他の既知の単一遺伝子性糖尿病遺伝子(MODY様糖尿病として報告がある遺伝子、脂肪萎縮症遺伝子、インスリン抵抗症遺伝子、ERストレス型糖尿病遺伝子計30遺伝子)の翻訳領域について、あらかじめすべてスクリーニングして正常であることを確認した。 (2)この過程で、いままで若年発症2型糖尿病と考えられていた13人よりRFX6遺伝子、EIF2S3遺伝子、ABCC8遺伝子の病的バリアントをもつ児3人を同定し、一見若年発症2型糖尿病と思われる症例の中にまれな単一遺伝子異常が隠れていることを示した。これは新たな知見で、別途報告を準備中である。(3)その他の患児よりミトコンドリア遺伝子を2つの断片に分けて増幅した。この際増幅エラーを最小にする酵素、増幅条件を検討した。 (4)上記の検討の下で、高血糖自体によるミトコンドリアDNA障害の可能性を考え、コントロール8名及び上記のスクリーニングにより既知遺伝子に変異のない若年発症2型糖尿病患児8名より、上記増幅したフラグメントを回収し終えたところである。(5)令和3年度中に次世代シーケンサーを用いたミトコンドリアDNAの低頻度モザイクを検討するとともに、さらに症例数を増やす予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初3年間の計画であったが、COVID19のパンデミックの影響で令和2年度の進行が遅れた。しかしながら、研究全体としては概ね計画通り進行している。延長期間中にデータを獲得し、解析できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
ミトコンドリアDNAの次世代シーケンサーによるディープシーケンスについては予備実験を済ませており予定通り実行できる見込みである。本研究ではDNA増幅酵素のfidelityを改善することでPCRエラー、シーケンスエラーを少なくしたい。困難が生じた場合はMosaic Forecast プログラム(Dou Y Nature Biotech 2020)などシーケンスエラー補正ソフトウェアの使用やcore technology(サーモフィッシャー)などによるシーケンスエラーの排除が必要になる可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度はCOVID19のパンデミックにより研究の進行が遅れた。令和3年度中に研究終了できる予定で、残額は次世代シーケンサー用試薬、消耗品(1900000円)、および研究成果の公表に要する費用(97311円)とする予定である。
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