研究実績の概要 |
膵腺房細胞を萎縮させ膵発癌を促進させるmRNA,miRNA,分泌蛋白の候補を絞り込むべく、現在手術を施行した膵癌症例から採取した膵癌組織は術後一部を凍結切片とし、Lasercapture microdissectionの手法を用いて採取されたmRNA, miRNA発現プロファイル、および蛋白の発現の差異を検討している。同様にmicroarrayの手法を用いてその変化を調べ、膵腺房細 胞の萎縮と膵癌の進展に関連mRNA, miRNA発現プロファイル、および蛋白候補を抽出している。膵癌細胞株膵星細胞は従来の方法を用いて不死化した人膵星細胞株を用いることは可能であるが、膵腺房細胞は、手術標本から人膵腺房細胞のprimary cultureを分離を試みている最中である。 膵特異的にCre-recombinaseを発現するPdx-CreトランスジェニックマウスとLSL-KrasG12D:LSL-p53 R172Hノックインマウスを交配することによって、膵特異的に活性化型変異Krasと機能喪失型p53を発現し、生後半年以内に高率に膵発癌を来すマウスモデル(KPCマウス) (Hingorani, 2005)においては膵前癌病変としてacinoductal metaplasiaおよびPanIN形 成がみられる。KPCマウスとKeap1欠損マウスを交配すると膵萎縮が認められることから(Hamada , 2017)、膵上皮内癌に似た膵萎縮の分子機構が起きていることが推測される。現在、採取された組織からLasercapture microdissectionの手法を用いてmRNA, miRNAの検討、またマウス血液中のバイオマーカー候補としてはプロテオミクス解析・メタボローム解析を行う予定である。 さらに、臨床症例を報告するべく、学会発表を行っている。
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