研究課題/領域番号 |
18K07901
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堤 武也 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (00726739)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | HCVコア蛋白 / Bnip3二量体形成 / FDA認可薬剤化合物ライブラリー / 表現型の個体差 |
研究実績の概要 |
前年度のFDA認可薬剤ライブラリー(1566種の化合物)を用いたスクリーニングで候補薬剤となった化合物について、Bnip3の二量体形成の促進作用についてin vitroで検討し、3種の化合物においてその効果を確認した。また並行して、天然化合物ライブラリー(1322種の化合物)を用いて同様にスクリーニングを行なったが、その中では、有意に二量体形成を促進するものは同定できなかった。 候補化合物のin vivoにおける効果を検討するために、HCVコア蛋白を発現するトランスジェニックマウス(HCVコアマウス)の繁殖を開始し、順調にマウスの繁殖に成功した。薬剤効果を判定する上で、HCVコアマウスの表現型である肝臓の脂肪化が全てのマウスに均等に観察されることが必要であるため、12匹の6ヶ月齢のHCVコアマウスを無作為的に麻酔下で安楽死のもと、解剖を行い肝臓を摘出した。顕微鏡的な観察の結果、ほぼ全てのマウスに肝臓の脂肪化が認められたが、脂肪化の程度の個体差が大きく、薬剤の効果判定を行う上で障壁になると考えられた。この明らかな原因は不明であるが、HCVコアマウスの体重と肝臓の脂肪化がある程度相関することがわかったため、体重をある程度揃えたHCVコアマウスで薬剤の投与群と非投与群に分けて検討を行うことにした。そのためにはマウスの数をさらに増やす必要があるため、現在、マウスのさらなる飼育と、そして薬剤投与の準備を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要に記載したように、in vivoにおける薬剤効果を判定する指標となる肝臓の脂肪化について、マウスの個体差が強く、その原因の探索と、マウスのさらなる飼育が必要であったため。
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今後の研究の推進方策 |
投与に適切なマウス数がそろったところで、候補薬剤の投与を開始する。 また、肝臓病、特に脂肪性肝疾患と腸内細菌との関連が最近注目されているため、HCVコアマウスにおけるマイクロバイオームの検討を開始する。対照マウスとの違いを検討し、プロバイオティックス投与によるHCVコアマウスへの介入により脂肪肝などの表現型が改善・予防可能か否かを評価したいと考えている。
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