研究課題/領域番号 |
18K07901
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堤 武也 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (00726739)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | C型肝炎ウイルス / トランスジェニックマウス / マイクロバイオーム |
研究実績の概要 |
前々年度および前年度にin vitroスクリーニングを行い候補化合物を絞り、前年度にトランスジェニックマウスの飼育を開始し、マウス本来の表現型の確認を行なった。ただマウス個体により表現型のばらつきが認められたため、今年度はその再検討と、候補化合物のマウスへの投与を予定していた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、一部の研究以外は研究をストップせざるを得なくなり、マウスへの薬物投与は持続的に一定の期間を要するため、投与を延期した。そのため、非侵襲的かつ断続的にできるような研究として、トランスジェニックマウスの糞便を採取し、腸管内のマイクロバイオームの検討を行なった。最近様々な疾患においてマイクロバイオームの関与が示唆されており、ヒトのC型肝炎や肝臓がんでもいくつか報告がなされている。HCVコアトランスジェニックマウスで特徴的なマイクロバイオーム変化がもし認められれば、それを是正するようなprobioticsなどの投与により、このマウスの表現型を改善できる可能性が考えられる。 今回、8週齢および15週齢のトランスジェニックマウスおよび野生型マウスそれぞれ3匹ずつ(計12匹)から採取した糞便を用いてマイクロバイオームの検討を行なったところ、トランスジェニックマウスにおいてLactobacillusの増加など、特徴的な変化が認められた。今後はこれらのマウスのマイクロバイオームを時系列的に検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、所属施設(東京大学)の活動制限レベルが上昇し、コロナ関連以外の研究はストップせざるを得なくなった。活動制限レベル低下後も、病院での臨床やコロナ関連研究への従事がする時間が増加し、本研究に割ける時間がかなり少なくなった。そのため、実施予定だったin vitroの検討がほとんどできず、マウスの飼育は継続したが、本来の目的であった薬物の投与は継続性が担保できなかったため実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今回、1年間の研究延長をお認めいただいたため、以下のように進めていく予定である。 本来の目的であるmitophagy関連の薬剤投与については、新型コロナウイルスの状況次第で、マウスへの薬剤投与を開始する予定である。3ヶ月から6ヶ月の投与を予定しているが、場合によっては、短期的投与の効果を調べることも検討したいと考えている。 また、研究実績に記載したように、代替的に実施したマイクロバイオーム研究で一定の結果を得ることができた。こちらについては、引き続きマウスの週齢を追って検討を行い、病態の進行とマイクロバイオームの変化を解明したいと考えている。また、将来的にはマイクロバイオームを是正するようなprobioticsの効果も検討したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大により、参加予定であった国内・国際学会のほぼ全てがオンライン開催となったため、旅費の使用がなくなった。また研究のストップにより、一部の消耗品の購入が延期となった。新型コロナウイルスの状況にもよるが、次年度は研究の再開、ならびに学会参加と発表を行う予定である。
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