昨年度報告したように、若いHCVコア遺伝子トランスジェニックマウスにおいて、Lactobacillusの増加など特徴的なマイクロバイオームの変化を確認した。そこで、これらのトランスジェニックマウスをその後も継続的に飼育し、月齢ごとの変化を追ったところ、マウス個体によってマイクロバイオームが若干異なった変化を示していた。このマウスは4ヶ月齢頃から肝臓の脂肪化を起こしてくるが、個体により程度の差が見られており、マイクロバイオームの変化が脂肪化の程度と関連がある可能性を考え、さらに検討したが、現段階では一貫した結論には至っていない。今後さらに月齢を追って継続的に検討を進める予定である。 また、トランスジェニックマウスへの薬剤投与についての検討は、autophagyを誘導するという既報があるグリチルリチンを選択し、実際に週に三回のマウスへの投与を6ヶ月間実施した。投与終了したところでマウスを安楽死させ、肝臓を摘出し、HE染色にて組織の評価を行なった。その結果、グリチルリチンを投与したトランスジェニックマウスでは一部肝脂肪化の軽減が認められた。しかし、今回の検討ではコントロール(生理食塩水のみ)を投与したマウスでも一部肝脂肪化の程度が低いマウスが認められ、体重やコアタンパク発現量に左右されている可能性も示唆された。今後はマウスの数を増やし、体重もある程度標準化した形で検討を進めていく予定である。
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