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2020 年度 実施状況報告書

発癌と炎症を促進するEnterococcus属を取り巻く腸内環境の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K07904
研究機関金沢大学

研究代表者

飯田 宗穂  金沢大学, 附属病院, 助教 (40705604)

研究分担者 北村 和哉  金沢大学, 附属病院, 助教 (00579633)
藤永 由佳子  金沢大学, 医学系, 教授 (60252954)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード腸内細菌
研究実績の概要

腸内細菌叢を制御するには、細菌と細菌の相互作用を理解することが重要である。腸内のEnterococcus属は肝発癌や腸炎を促進する細菌であり、これを制御することは疾患の予防・治療につながる。しかしEnterococcus属が細菌叢の中でどのように他の細菌と相互作用するのか解明されていない。患者便、かつ肝発癌マウスモデルや腸炎マウスモデル便のメタゲノムデータを用いたネットワーク解析からEnterococcus属と共存しない細菌を同定しEnterococcusの発育を抑制する菌を推定するのが目的である。健常者、かつ肝癌患者、炎症性腸疾患患者便から分離培養されたEnterococcusの半数以上はEnterococccus feaciumであった。ついでEnterococcus faecalis、その他のEnterococcusが続いた。これら分離株の一部からDNAを抽出しシーケンシングを行い、E. faeciumやE. faecalisといった菌種を確定した。続いて、患者便、健常者便からDNAを抽出し、これらを次世代シーケンサーMiseqを用いて全ゲノムショットガンシーケンシングを行い、メタゲノム解析を行った。Enterococcus属は健常者便細菌叢にはあまり存在せず、肝癌患者や炎症性腸疾患患者便細菌叢には健常者に比して多く存在した。このメタゲノムデータを用いて共存する細菌についてPearsonの相関係数を計算し共存関係を明らかにした。E. faecalisと負の相関があり共存しにくい細菌種はCollinsella aerofaciens, Blautia obeum, Coprococcus comesでありこれら細菌種を多く含むのは健常者便であった。その菌種を多く含む腸内細菌叢を持つマウスではE. faecalisの発育が抑制された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当該年度中に動物施設の閉鎖など遅延要因となる事象が生じたため計画はやや遅れ、1年の延期を行った。Enterococcusの発育を抑制する可能性のある細菌種であるCollinsella aerofaciens, Blautia obeum, Coprococcus comesを含む細菌叢が、Enterococcusのもたらす病原性を減じることができるか動物モデルでの実証が必要であり、その点を延期した1年で実行する。

今後の研究の推進方策

Enterococcusの発育を抑制する可能性のある細菌種であるCollinsella aerofaciens, Blautia obeum, Coprococcus comesを含む細菌叢が、Enterococcusのもたらす病原性を減じることができるか動物モデルでの実証が必要であり、その点を延期した1年で実行する。具体的にはCollinsella aerofaciens, Blautia obeum, Coprococcus comesを含む健常者便を5種類選択し、無菌マウスに移植を行う。その上でE. faecalisの移植を行い増殖が抑制されるかどうかCFUをカウントする。またこのモデルに薬剤性の肝発癌を誘導し、肝における腫瘍増殖関連遺伝子の発現や炎症遺伝子の発現が、E. faecalisの増殖抑制に伴い変化するか確認する。

次年度使用額が生じた理由

当該年度に動物実験施設の閉鎖期間が生じ、実験予定に大幅な狂いが生じた。そのため研究期間を1年延長し、次年度に金額を使用することとした。

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公開日: 2021-12-27  

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