• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

C型慢性肝炎のDAAs治療における脂質変化とPCSK9および酸化LDLの役割

研究課題

研究課題/領域番号 18K07907
研究機関信州大学

研究代表者

城下 智  信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (90597965)

研究分担者 沢村 達也  信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (30243033)
太田 正穂  信州大学, 医学部, 特任教授 (50115333)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードC型慢性肝炎 / 脂質プロファイル
研究実績の概要

C型肝炎に対する経口の直接作用型抗ウイルス剤(DAAs: direct acting antivirals)治療は、治療期間が短く、副作用が少なく、高いウイルス学的著効(SVR)が得られる。一方で、DAAs治療では、LDL-C上昇を伴う脂質代謝異常等の新たな問題も明らかになりつつある。本研究では、C型慢性肝炎のDAAs治療における脂質プロファイルとLDL受容体分解蛋白質であるPCSK9の関係と、動脈硬化促進および心血管イベントリスクに対する関わりを明らかにすることが目的である。
まず、今年度は、当院でDAAs治療を受けSVRに至ったC型慢性肝炎133例と健常人32例を対象とし、脂質とPCSK9を測定し比較検討した。治療前患者のLDL-C(C型慢性肝炎 vs. 健常人:62 vs. 90 mg/dL)およびPCSK9(同:152 vs. 186 mg/dL)は健常人より有意に低かった(P<0.01)。また、ウイルス排除に伴い、apoBとapoC2の上昇を伴っていた。これらの成果は第115回日本内科学会講演会で報告した(城下 智,他.日本内科学会雑誌.2018.107:239)。
さらに、DAAs治療時代におけるALT値が正常なC型慢性肝炎(PNALT:HCV carriers with persistently normal ALT)の臨床的特徴について、871例について検討を加えた。PNALTは病態非進展例が多かったが、血小板数の観点から4割は線維化進展が示唆された。SVR率には差はなく、C型肝炎の完全制御を目指す観点からPNALTは良い治療適応であると考えられた。これらの成果は第54回日本肝臓学会総会で報告した(城下 智,他.肝臓.2018,59:A383)。
また、肝細胞癌合併既往例のDAAs治療における臨床的特徴とDAAs治療効果に与える影響について検討し、肝細胞癌の既往有がDAAs治療不成功に関する独立した因子であることを明らかにした(オッズ比:3.56、95%信頼区間:1.32~9.57、P<0.001)(Sugiura A, Joshita S, et al. J Viral Hepat. 2018.25:1462-1471)。これらの脂質変動については今後の検討課題である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実臨床におけるDAAs治療効果と脂質変動について明らかにした。これらの結果については、投稿準備中である。脂質の量的変化が明らかになったため、今後は質的な変化について明らかにしていく段階であると考えられる。

今後の研究の推進方策

DAAs治療時代におけるC型慢性肝炎患者の特徴を明らかにしていく必要がある。特に、DAAs治療の実臨床においては、ALT値が正常なC型慢性肝炎(PNALT:HCV carriers with persistently normal ALT)患者も多数治療を受けており、これら症例の臨床的特徴を明らかにするとともに、脂質変動についても検討していく。また、脂質変動がもたらす臨床的アウトカムを検討し、特に、脂質の質的な変化についても考察を加えていく。

次年度使用額が生じた理由

本年度施行した、PCSK9のELISA法の測定が安価に行えたため。
次年度の研究計画を予算通りに行うことに加えて、消耗品購入の次年度使用額にあてることとする。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Past history of hepatocellular carcinoma is an independent risk factor of treatment failure in patients with chronic hepatitis C virus infection receiving direct-acting antivirals2018

    • 著者名/発表者名
      Ayumi Sugiura, Satoru Joshita, Takeji Umemura, et al.
    • 雑誌名

      Journal of Viral Hepatitis

      巻: 25 ページ: 1462~1471

    • DOI

      https://doi.org/10.1111/jvh.12973

    • 査読あり
  • [学会発表] C型慢性肝炎のDAAs治療におけるLDL-Cの変化とPCSK9との関連2018

    • 著者名/発表者名
      城下智、杉浦亜弓、梅村武司、沢村達也、太田正穂、田中榮司
    • 学会等名
      第115回日本内科学会講演会
  • [学会発表] Clinical impact of persistently normal ALT on HCC development in HCV patients with DAA treatment2018

    • 著者名/発表者名
      Satoru Joshita, Takeji Umemura, Eiji Tanaka
    • 学会等名
      APASL STC 2018 on HCC in Yokohama
    • 国際学会
  • [学会発表] Persistently Normal ALT C型慢性肝炎におけるDirect Acting Antivirals療法の臨床的特徴と実態2018

    • 著者名/発表者名
      城下智、梅村武司、田中榮司
    • 学会等名
      第54回日本肝臓学会総会
  • [学会発表] C型肝炎の直接作用型抗ウイルス剤治療における脂質の量的変動プロファイルとアポリポ蛋白変動からみた脂質の質的変動に関する検討2018

    • 著者名/発表者名
      城下智、梅村武司、田中榮司
    • 学会等名
      第42回日本肝臓学会東部会

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi