• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実績報告書

脂肪性肝疾患の肝線維化におけるB細胞活性化因子の役割

研究課題

研究課題/領域番号 18K07911
研究機関愛媛大学

研究代表者

阿部 雅則  愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (40432786)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード肝線維化 / アディポカイン / マクロファージ
研究実績の概要

多くの疫学研究から、肝炎ウイルス非感染者からの肝発癌の多くが、肥満や糖尿病などの代謝異常を合併していることが明らかとなっており、非常に多数の肥満、糖尿病患者の中から肝病態進行例を抽出すること、またその治療戦略を確立する必要がある。
申請者はB細胞活性化因子(BAFF)がインスリン抵抗性を誘導するアディポカインであることを見出し、脂肪性肝疾患の肝脂肪化に関与することを明らかにしてきた。今回の研究では、BAFFの脂肪性肝疾患の肝線維化への役割について、ノックアウトマウスを用いた動物モデルや細胞を用いて明らかにした。まず、高コレステロール含有高脂肪食飼育に加えて四塩化炭素を投与することにより線維化を伴う脂肪性肝炎(NASH)モデルを確立した。BAFF欠損マウスでは野生型に比べて肝脂肪化、炎症、線維化が軽減し、肝臓の中性脂肪含有量、コラーゲン含有量が少なかった。また、BAFF欠損マウスの肝臓では炎症性サイトカイン、ケモカインの発現が野生型より低く、TGF-βやCol1aも低発現であった。既報のNASHモデルでも同様の結果が得られた。単離した肝星細胞にはBAFF受容体の発現はなく、BAFFを添加しても肝星細胞の活性化がみられなかった。BAFF欠損マウスの肝臓では炎症性サイトカイン、ケモカインの遺伝子発現が野生型に比しBAFF欠損マウスでは野生型に比べて肝内のM1マクロファージ数およびM1/M2マクロファージ比が低下し、マクロファージからの炎症性サイトカイン産生も低下していた。また、マクロファージ細胞株にBAFFを添加すると炎症性サイトカイン産生は増加した。
以上から、BAFFは脂肪性肝疾患の肝脂肪化、炎症に加えて線維化進展に関与していることが明らかとなった。BAFFは脂肪性肝疾患の治療標的の一つと考えられた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Dilatation of lymphatic vessels increases liver stiffness on transient elastography irrespective of fibrosis.2021

    • 著者名/発表者名
      Hirooka M, Koizumi Y, Tanaka T, Sunago K, Nakamura Y, Yukimoto A, Watanabe T, Yoshida O, Tokumoto Y, Abe M, Hiasa Y
    • 雑誌名

      Hepatology Research

      巻: 51 ページ: 284-293

    • DOI

      10.1111/hepr.13610

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Advanced fibrosis of non-alcoholic steatohepatitis affects the significance of lipoprotein(a) as a cardiovascular risk factor.2020

    • 著者名/発表者名
      Konishi K, Miyake T, Furukawa S, Senba H, Kanzaki S, Nakaguchi H, Yukimoto A, Nakamura Y, Watanabe T, Koizumi Y, Yoshida O, Tokumoto Y, Hirooka M, Kumagi T, Abe M, Matsuura B, Hiasa Y
    • 雑誌名

      Atherosclerosis

      巻: 299 ページ: 32-37

    • DOI

      10.1016/j.atherosclerosis.2020.02.026

    • 査読あり
  • [学会発表] B細胞活性化因子の非アルコール性脂肪性肝疾患モデルマウスにおける肝脂肪化への影響2020

    • 著者名/発表者名
      中村由子、阿部雅則、三宅映己、渡辺崇夫、小泉洋平、吉田理、小泉洋平、廣岡昌史、日浅陽一
    • 学会等名
      第38回Cytoprotection研究会
  • [学会発表] 肝障害別にみた脂肪肝が耐糖能異常発症に及ぼす影響2020

    • 著者名/発表者名
      三宅映己、首藤祥子、神崎さやか、仙波英徳、中口博允、小堀友恵、古川慎哉、阿部雅則、松浦文三、日浅陽一
    • 学会等名
      第63回日本糖尿病学会年次学術集会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi