研究実績の概要 |
1)正常ヒト肝細胞およびヒト肝癌細胞株における時計遺伝子の発現とサイトカインに対する反応に関する検討 ① 正常ヒト肝細胞および各種ヒト肝癌細胞株(HuH6, HuH7, HepG2, HLE, HLF, PLC-PRF-5, Hep3B)を用いて、種々の時計遺伝子(Bmal1、Rev-erb alfa、Reverb beta、Per1、Per2、Cry1)の発現を、それぞれ、qPCR法を用いて検討した。その結果、正常ヒト肝細胞および、いくつかのヒト肝がん細胞株においてもそれぞれの時計遺伝子の発現を認めた。一方、western blotting法においても同様に、正常ヒト肝細胞および種々のヒト肝がん細胞株にそれぞれの時計遺伝子の発現を確認した。しかしながらその多寡について様々な結果であり、さらにヒト肝癌細胞株を増やして、いずれも再検討を行っている。② 正常ヒト肝細胞に対して種々の炎症性サイトカイン(TNF-alfa, IL-1beta, IL-17, IL-10, IL-13)の添加によって生じる時計遺伝子の変化を明らかにするため、qPCR法を用いて検討を行った。特に、IL-10、IL-1betaの投与によっていくつかの時計遺伝子の発現に変化を認めた。特にBmal1およびPer1、Per2における発現増加が認められた。 2)C57/BL6Jマウスにおける概日時計の変化と腸内細菌叢および肝組織の変化について ①上記1)②の種々の炎症性サイトカインの添加によって生じるヒト正常肝細胞における発現を検出できたBmal1およびPer1、Per2に関して、マウス肝組織におけるこれらの時計遺伝子の発現について検討を行った。いずれも発現の多寡はあるものの、発現は確認できた。②C57/BL6Jマウスにおける腸内細菌叢プロファイルを16S rRNA gene sequence法を用いて検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
これまで、各種ヒト肝癌細胞株(HuH6, HuH7m HepG2, HLE, HLF, PLC-PRF-5, Hep3B)および正常ヒト肝細胞を用いて、種々の時計遺伝子(Bmal1、Rev-erb alfa、Rev-erb beta、Per1、Per2、Cry1)の発現をそれぞれ、qPCR法およびwestern blotting法を用いて検討してきたが、特に後者のwestern blotting法において発現の検出を明らかにするために多くの時間を要していた。また、それぞれの細胞株におけるそれぞれの時計遺伝子の発現の多寡の差が大きく、再現性を確認するために時間を要した。これらの基礎的な段階での実験に予想より大幅に時間を要してしまったことが研究全体の遅滞の原因と考える。
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