研究課題
内視鏡的手縫い縫合法(endoscopic hand suturing: EHS)を用いた安全な内視鏡治療の確立および新しい治療手技の開発を目的として、以下の課題を検討した。①大腸内視鏡的粘膜下層剥離術 (endoscopic submucosal dissection: ESD) 後EHSの実行可能性に関する探索的臨床研究を実施、研究内容が国内外の主要な学会に採択されるとともに、その論文が英文誌に受理された。②胃ESDにおけるEHSの実行可能性に関する多施設共同臨床研究を実施した。計30例中29例(97%)で手技を完遂し、うち25例で術後3日目でも縫合が維持されていることを確認した。術後出血は3例(10%)認めたが、縫合維持が確認できた術後胃症例を除く24例では術後出血を認めなかった。研究内容が国内外の主要な学会に採択されるとともに、その論文が英文誌に受理された。③EHSを用いた胃ESD時の病変吊り上げ法(トラクションESD)に関する動物実験を施行、研究内容が国内外の主要な学会に採択された。現在英文誌に論文を投稿中である。また、EHSの学習効果に関する3D内視鏡の有用性を検討するための机上実験を施行した。計4名の内視鏡医がそれぞれ計30針、縫合トレーニング用パットに対してEHSを行い、縫合時間、正確性などを評価した。結果、3D内視鏡を用いることで効率的にEHS手技が獲得できる可能性を示した。研究内容が国内の主要な学会に採択されるとともに、その論文が英文誌に受理された。各検討課題において概ね順調に推移している。現在、胃ESD後EHSの有効性に関する多施設共同単アーム探索的臨床研究を計画し、各施設にて倫理審査中である。
2: おおむね順調に進展している
抗血栓薬服用者(術後出血高危険群)に対する胃ESD後EHSの術後出血予防効果に関する多施設共同研究の準備に並行して、EHSを先進医療として申請中であることから、若干の遅れが見られるが、概ね順調に推移している。
術後出血高危険群である抗血栓薬服用者計6施設60症例を対象とし、胃ESD後EHSの術後出血予防効果に関する多施設共同研究を立案し、研究代表者の施設にてIRB申請を行い受理された。現在研究協力施設にて順次IRB申請を行っている。並行して、EHSを先進医療として申請し、審議中である。承認が得られた時点で本年度中に本研究を終了する予定としている。大腸ESD後EHSの有用性に関する多施設共同研究も研究協力者の所属する施設を主幹として立案中である。
臨床研究の開始が年度を超えたため、臨床研究保険に要する費用を次年度に繰り越した。準備が整い次第使用予定である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
Endoscopy
巻: - ページ: -
10.1055/a-1120-8533
Gastrointestinal Endoscopy
10.1016/j.gie.2019.12.046
Clinical Endoscopy
Gastroenterological Endoscopy