研究課題
clostridium difficile関連下痢症(CDAD)の発症は、C. difficileに対して抗菌活性を有する二次胆汁酸の減少が一因とされている。その二次胆汁酸は、肝臓由来の一次胆汁酸を基質にして、大腸内でClostridium subcluster XIVa (XIVa) によって生成される。申請者らは平成29年度までに、血清を用いて、大腸内XIVaの多寡を1時間以内に判定する新しい方法を確立した。本研究はこの方法を応用し、1)CDADの新規発症・再発の危険度を評価する方法の開発、2) 難治例となるメカニズムの解明、さらに3)胆汁酸代謝からみたCDAD予防法の確立を目指す。令和2年度は、令和元年度のCDAD発症および再発群での血中のデオキシコール酸(DCA)/[DCA+コール酸(CA)]比の測定に加えて、以下の胆汁酸マーカー、2次BA/(2次+1次BA)、free usual BAs、free DCA/ total DCA、7βBA/(7βBA+7oxoBA) の測定を追加した。その結果、血中のデオキシコール酸(DCA)/[DCA+コール酸(CA)]比の低下と同様にCDAD発症では2次BA/(2次+1次BA)の比の低下が認められたが、free usual BAs、free DCA/ total DCA、7βBA/(7βBA+7oxoBA)はCDAD発症群と非発症群間で有意な差を認めなかった。入院後初回血清で胆汁酸マーカーを、CDAD発症群と非発症群で比較したところ、(DCA)/[DCA+コール酸(CA)]比がCDAD発症群で有意に低下していた。またその低下は、抗生剤投与前、投与後に関わらずCDAD発症群の初回血清で認められ、初回血清中の(DCA)/[DCA+コール酸(CA)]比の低下が、その後のCDAD発症予測因子として重要であることが示唆された。
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