研究課題/領域番号 |
18K07921
|
研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
内田 一茂 関西医科大学, 医学部, 准教授 (40411516)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | IgG4関連疾患 / 自然免疫 / 自然リンパ球 / マウスモデル |
研究実績の概要 |
自己免疫性膵炎は、本邦より発信された新しい疾患概念であり、現在日本でよく見られるIgG4の関与する1型と日本では少ない好中球病変が主体の2型に分類されている。 近年自然免疫反応が様々な疾患に関与しているが、1型AIPにおいては我々は膵組織にTLR7陽性M2 Mφが多数浸潤しており、線維化、Th2反応に関与している可能性について報告した。更にこのM2Mφは、通常組織には存在しない好塩基球が炎症局所においてIL-4、IL-13を産生することで炎症性単球からM2 Mφへ分化されることが知られていることから、好塩基球が浸潤しているかを調べたところ13例中10例で浸潤が認められることを見出した。この好塩基球はTLR2もしくはTLR4が陽性であり、膵切除を受けた患者末梢血中の好塩基球も膵組織と同じTLR刺激で活性化されることがわかった。 そこで本研究では、1型自己免疫性膵炎における自然免疫反応の関与(特に近年喘息、アトピー性皮膚炎で注目されているM2マクロファージ(Mφ)-好塩基球-Group2自然リンパ球(ILC)による慢性アレルギー炎症)を解析することを目的とした。 本年度は、臨床的研究では、文書にて同意の得られた1型自己免疫性膵炎患者(20例)と健常者20例、アルコール性膵炎患者20例を対象として、患者末梢血を採取し、白血球数、白血球分画、血清IgG4を含むIgGサブクラス、IgE、IgA、IgM、CH50、C3、C4について測定した。またフローサイトメトリーを用いて、CD45+Lin-CD127+自然リンパ球とそのサブセットGroup1 (CRTH2-/CD117-)、Group2 (CRTH2+)、Group3 (CRTH2-/CD117+)について解析した。 基礎的研究では、モデル動物を作成し膵炎、唾液腺炎、胆管炎を惹起することを試みた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
末梢血中の自然リンパ球の解析は終了し、動物モデルの作成にも取り掛かっており、概ね順調に進展しているものと考えられるため。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、臨床的研究である末梢血中の自然リンパ球の解析については、データを整理して論文化している。翌年度以降は、引き続き末梢血中の他の自然免疫細胞についても解析する予定である。 基礎的研究については、モデル動物の確立を目指しその解析に取り掛かる予定である。 自己免疫性膵炎は、本邦より発信された新しい疾患概念であるが、未だその病態は十分には解明されていない。また自然免疫反応は様々な疾患でその重要性が言われているが、1型自己免疫性膵炎での役割についての解明はその途についたばかりである。引き続き臨床、基礎の両面から、1型自己免疫性膵炎における自然免疫反応の関与(特に近年喘息、アトピー性皮膚炎で注目されているM2マクロファージ(Mφ)-好塩基球-Group2自然リンパ球(ILC)による慢性アレルギー炎症)を解析していきたいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定した研究試薬が年度内に納品されないことが判明したため次年度購入としたことによる。
|