研究課題
自己免疫性膵炎(AIP)は、本邦より発信された新しい疾患概念である。その後の研究により、IgG4の関与する1型と好中球病変が主体の2型に分類されており、日本ではその多くは1型である。さらに1型AIPは様々な膵外病変を呈することが知られていたが、現在ではそれらはIgG4関連疾患とされ1型自己免疫性膵炎はIgG4関連疾患の膵病変として捉えられている。近年自然免疫反応が、様々な疾患に重要な役割を果たしていることが報告されている。我々は、1型AIPにおいては膵組織にTLR7陽性M2 Mφが多数浸潤しており、線維化、Th2反応に関与している可能性があることを報告した。アレルギー疾患では、通常組織で認められない好塩基球が炎症の首座となっている臓器に浸潤し末梢血中の炎症性単球をその臓器へと呼び寄せM2マクロファージへ分化させることが知られている。そこで1型AIPの膵組織において好塩基球が浸潤しているかどうかを調べたところ、13例中10例で浸潤が認められることを見出した。また好中球浸潤は2型自己免疫性膵炎の特徴として知られているが、1型自己免疫性膵炎においても好中球が浸潤していることについて報告した。そこで本研究では、1型自己免疫性膵炎における自然免疫反応の関与(特に近年喘息、アトピー性皮膚炎で注目されているM2マクロファージ(Mφ)-好塩基球- Group2自然リンパ球(ILC)による慢性アレルギー炎症)を中心として自然免疫反応の関与の解析を目的とし、これらの自然リンパ球を含めて各種自然免疫細胞の解析を患者末梢血を用いて行った。その結果、慢性膵炎、1型AIP患者末梢血中ではGroup2およびGroup3自然リンパ球が増加していることがわかった。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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