研究実績の概要 |
2020年度は2018年度と2019年度の解析結果を基に、古典的鋸歯状腺腫の内視鏡所見の解析を行った。その結果、128例中10例(8%)が有茎性病変(Ip)であり、亜有茎性病変(Isp)の10例を合わせると20例を合わせると16%と高い割合が有茎性病変に分類された[表面隆起型(IIa)が11例(9%)、隆起型(Is)が97例(76%)]。この大腸有茎性ポリープにおいてはポリープ摘除後出血が高い事が広く知られている。そこで、目的を大腸有茎性ポリープのポリープ切除後出血に影響を与える内視鏡的特徴を明らかにする事とし、関連施設で内視鏡的に切除された茎の長さ5mm以上の大腸有茎性ポリープ連続932症例1147病変を対象とした。病変部位、病変サイズ、茎の太さ、予防的処置 (止血クリップや留置スネア)や局注、切除後潰瘍縫縮、抗血栓薬内服の有無、術者の経験等の因子について出血との関連を検討した。ポリープ切除後出血は切除直後出血と遅発性出血に分類した。結果、切除直後出血は8.5% (97/1127)、遅発性出血は2% (23/1147)に認めた。切除直後出血で多変量解析を行ったところ、茎の太さ6mm以上 (OR 1.9; 95%CI 1.1-3.4)が独立した危険因子として算出された。遅発性出血で多変量解析を行ったところ、予防的クリップ[OR: 4.2; 95% CI: 1.3-13]、局注(OR 4.0; 95%CI 1.4-12)が独立した危険因子として算出された。以上より、局注と予防的クリップが遅発性出血の危険因子であり、大腸有茎性ポリープでは予防的介入などはせずに凝固モードで切除することが適切であると示唆された。(Tagawa T, Yamada M*, et al. Gastrointest Endosc. Inpress. *, corresponding author)
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