研究課題/領域番号 |
18K07933
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中田 史子 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (70815448)
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研究分担者 |
早河 翼 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60777655)
山田 篤生 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80534932)
新倉 量太 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90625609)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 薬剤性小腸粘膜障害 / 腸内細菌 / Fusobacterium / マウスモデル |
研究実績の概要 |
薬剤性小腸粘膜障害の病態解明のために、ヒト小腸検体の小腸細菌叢を解析した。17検体の小腸粘膜障害と関連がある患者から小腸粘膜検体を採取し、16SrRNAメタゲノム解析を施行した。対照群として、8検体(2検体ヘリコバクターピロリ感染陰性患者、3検体ヘリコバクターピロリ感染陽性患者、3検体ヘリコバクターピロリ除菌後患者)から胃粘膜検体を採取し、同様に16SrRNAメタゲノム解析を施行した。小腸粘膜のリード数は平均22027(標準偏差35447)、胃粘膜のリード数は平均13296(標準偏差5022)であり、小腸粘膜における細菌量が多いことが示唆された。β多様性解析において、Phylumレベルにおいては、小腸粘膜においてはProteobacteriaが胃粘膜よりも高率に認められ、菌叢の違いも示唆された。16SrRNAメタゲノム解析からヒト小腸粘膜には細菌量が多いことが示唆された。β多様性解析のGeneraレベルにおける解析では、小腸粘膜においては、Bacteroides、Serratia、Bifidobacterium、Prevotella、Leptotrichia、Streptococcus、Fusobacterium、Ruminococcus、Faecalibacterium、Blautiaが最も多く認められた菌種であった。さらに、胃癌や大腸癌との関連が報告されているFusobacterium属が82%に検出された。これらの研究結果は細菌叢のdysbiosisと小腸粘膜障害の関連を示唆している。 さらに小腸粘膜障害を模倣するマウスモデルの構築を行った。野生型マウスにジクロフェナク90mg/kgを腹腔内投与・経口投与を行い、小腸粘膜障害を生じるマウスモデルを構築した。内服群と腹腔内投与群において、粘膜障害の数は同程度認められた。12時間投与後群の方が24時間投与後と比べて、粘膜障害の数が増加していた。免疫染色の検討を重ね、粘膜障害がアポトーシスにより生じていることを明らかにした。
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