研究課題
マウス膵臓癌細胞株PAN02(NCI, Frederick)をC57 BL/6Jマウス(8週齢、雌)に接種し、組織学的に線維化に富む腫瘍を確立させた。 腫瘍細胞の接種方法は、腹膜に摂取した腹膜播種モデルおよび静脈に接種し肝転移を生み出す肝転移モデルの2種類を確立させた。いずれも実臨床での膵癌患者の臨床像と合致するものであった。この膵臓癌マウスモデルにおける全身における宿主免疫応答に関しては、末梢血液および脾細胞を採取し、免疫担当細胞をFlow cytometry(FCM)にて解析した。 また、癌局所の免疫応答に関しては、腹腔内に播種した腫瘍組織における腫瘍浸潤炎症細胞(TIC)に関して、FCMおよび免疫組織化学法(IHC)にて炎症状態を解析 した。特に肝転移モデルでは、腫瘍および腫瘍周囲の宿主免疫応答といった微小腫瘍環境を解析するのに適していた。宿主の免疫状態について、末梢血液、脾細胞および腫瘍局所のTICにおいて、CD11b+ Gr-1+細胞頻度の増加を認めた。また、T細胞系の免疫応答にも変化を認めることを見出した。膵臓癌に対するFirst lineの抗癌剤である Gemcitabine投与によって、末梢血液、脾細胞やTICにおいて、担癌状態で増加していた CD11b+ Gr-1+細胞頻度が低下していた。また、IHCによる腫瘍組織へのGr-1陽性細胞の減少を認めた。 さらにT細胞系の免疫応答に変化を認めていたことから、PD-1など免疫チェックポイントに関連する分子に関しても詳細にどうようの細胞にて解析を行った。そこで、PD-1抗体をGemcitabineに追加して投与する治療スケジュールを確立させ、より抗腫瘍効果が高く生存率が改善することを発見した。
すべて 2020
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J Immunother Cancer
巻: - ページ: -
10.1136/jitc-2020-001367