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2019 年度 実施状況報告書

急性肝不全モデル動物におけるMCP-1,sSiglec9の有用性

研究課題

研究課題/領域番号 18K07936
研究機関名古屋大学

研究代表者

石上 雅敏  名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90378042)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード急性肝不全 / MCP-1 / sSiglec-9 / 抗炎症 / 肝再生
研究実績の概要

現在、MCP-1+sSiglec9の2液性因子の効果検証のため主に下記2つのモデルにて検討を行った。
(1)4ラットD-galactosamineモデルにおいては、2因子投与により肝細胞再生因子であるHGF,βカテニン,肝前駆細胞マーカーであるEpCAM,および胆管細胞再生因子であるNotch-1がPBS投与群に比較して有意にmRNAの発現が高いことが示された。そこでHGF分泌の主な細胞の一つと考えられる星細胞に着目、検討を行った。星細胞はその活性化に伴い、線維産生細胞として主に働くこととなるが、静止期にある星細胞は特にHGFの産生が強くなると考えている。星細胞の活性化マーカーであるαSMAの染色を行うと2因子投与群では生体内では星細胞の活性化が抑制されていることが免疫組織学的検討に示された。現在、不死化星細胞株であるLx2を用いて2因子、およびcontrol mediumで刺激したマクロファージ上清にて培養、その変化について検討している。
(2)CCl4誘発マウス急性肝不全モデルにおいては、昨年度同様まず生存率の再現実験を行っても2因子投与群の方がcontrol群に比較して生存率が高いという結果を得ている。本モデルにおいてはALT上昇のピークが48時間後となることが確認されている。ただ、48時間の時点でのALT値については2因子投与群とcontrol群で差は認められなかった。本モデルにおける壊死のメカニズムとして細胞内の脂肪化、およびミトコンドリア障害が主とされているため、本モデルにおける2因子の効果としては抗炎症とは別のメカニズムも示唆される結果であった。また、CCl4投与60時間後で2因子投与群のArginase-1,CD206がcontrolに比べて高発現であることが示され、効果にタイムラグがある可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

D-galactosamineモデルにおいては不死化星細胞とマクロファージ上清の培養条件設定に少し苦心している。また免疫組織学的な蛋白発現とmRNA発現が合わない因子もあり、現在その原因を検討中である。
CCl4モデルにおいては、上記D-galactosamineモデルとの炎症惹起の状態が異なることが原因であるのか、ピーク時における炎症、抗炎症マーカーに大きな差が出て来ていない。またALTに反映される壊死、炎症の状態と各種mRNA発現で説明困難なデータも出て来ており、現在そのあたりを検討している所である。

今後の研究の推進方策

現在進行している2つの急性肝不全モデルにおいて、抗炎症、肝再生促進のメカニズムについて一定の結論を出す方向で継続していく方針である。
D-galactosamineモデルにおいては、HGFの主な分泌細胞と考えられる星細胞に着目し、in vitro,in vivoモデルの両方においてHGFを豊富に分泌すると考えられる静止期星細胞およびHGF分泌の状態の確認、また、肝再生メカニズムのステップのうち、すでに差があることが確認されているβカテニン,EpCAM,Notch-1,またTWEAKの発現、およびそのリガンドであるWntβ、Jagged-1、Fn14、cMetの発現状態の差を2因子群とcontrol群の差をmRNA,蛋白レベルで確認、どのステップに2因子が最も効いているかを明らかにしていく。
CCl4モデルにおいても抗炎症における差が出ていないことと、生存率の差を埋めるメカニズムとして肝再生への直接効果に着目して検討していく。上記D-galactosamineモデルと同様に肝再生の状態をKi-67染色で比較、またHGF他各種ステップでの2群での差を確認する。さらに炎症のピークであるCCl4投与48時間後よりもさらに遅いPhaseである60時間後の時点でArginase-1,CD206等のいわゆるM2マクロファージマーカーが動き出しているということから、もう少し遅い時期で差が出ないか、ということも検討していく。

次年度使用額が生じた理由

千円単位の端数となってしまったため、無理に消耗品を購入するのを避け、次年度に繰り越した。

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公開日: 2021-01-27  

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