今後の研究の推進方策 |
次年度については、モデルの汎用性として新たによりヒトでも起こり得る薬剤性急性肝不全モデルとして有名なアセトアミノフェン(APAP)誘発モデルを使用、2因子の効果を検証する。具体的にはモデルの確立(APAP投与量、2因子投与タイミング)を行った後、炎症関連(TNF-α,TGF-β,IL-6,IL-1β,PAI-1,iNOS,VEGF)、再生関連(HGF),および現在メカニズムの主作用として推定されている抗炎症性マクロファージマーカー(Arginase-1,CD206)の遺伝子発現、またTUNEL染色によるアポトーシス、およびKi67による肝細胞増殖マーカーの免疫組織学的発現を2因子投与群とcontrol群で比較検討を行う。また、これらがすでに肝局在のマクロファージであるKuppfer細胞のレベルで働いているのか、あるいは炎症によって動員される骨髄単球由来のマクロファージの働きであるのかも同時に検討していきたい。 再生メカニズムについては、動員される再生細胞が肝前駆細胞なのか、あるいは成熟肝細胞の分裂なのか、もしくはその両方なのかを明らかにするため前駆細胞のマーカーであるAFP,CK19発現、また成熟肝細胞のマーカーであるHNF-4α発現の遺伝子発現、およびKi-67との共染色による免疫組織学的検討を行っていく予定である。 また、肝再生時に重要な液性因子であるHGF分泌の主たる細胞としては星細胞、特に静止期の星細胞が考えられている。2因子投与による静止期、および活性化星細胞の動態をdesmin,α-SMAの発現の有無で評価し、control群と比較する予定である。 この新たなモデル確立、およびこれらの検討を2因子の他にSHED-CMでの検討でも予定していることから次年度使用額として計上を行っている。
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