研究課題/領域番号 |
18K07942
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
中川 忠彦 島根県立大学, 看護栄養学部, 助教 (40634275)
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研究分担者 |
高山 哲治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10284994)
佐藤 康史 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任教授 (80343383)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 薬剤感受性 / エピジェネティック調節 |
研究実績の概要 |
本年度の研究では、進行胃癌におけるJMJD2A の治療標的因子あるいは効果予測マーカーとしての有用性を立証するために、そして、JMJD2A によるエピジェネティック調節を介した薬剤感受性の制御のメカニズムを明らかにするために、以下の3つの検討を行った。 1)Gene expression array により抽出されたJMJD2A が制御する標的遺伝子の1つであるCCDC8について以下の検討を行った。胃癌培養細胞株(MKN45,NUGC-4)を用いて、CCDC8ノックダウン細胞およびコントロール細胞(Negativec ontrol siRNAをトランスフェクションした。)に種々の濃度の5-FU,CDDP またはdocetaxelを加えて培養し、WST assay によりIC50 を算出し感受性の変化を検討した。CCDC8ノックダウンにより各薬剤に対する耐性が上昇した。 2)胃癌培養細胞株(MKN45,NUGC-4)を用いて、JMJD2Aノックダウン細胞およびJMJD2A過剰発現細胞、コントロール細胞におけるヒストンH3のメチル化状態を調べた。ウエスタンブロッティング法により、トリメチル化あるいはジメチル化のヒストンH3K9の発現の増減を確認した。 3)まず初めに、抗原を含む溶液(MKN45細胞の溶解液)にJMJD2A抗体を添加し、溶液中で抗原-抗体複合体を形成させた。次いで、ビーズに固相化したprotein Aを添加し、抗原-抗体複合体をビーズに吸着させた。そして、ビーズをよく洗浄した後、ビーズから抗原を溶出した。この溶出液に対してCCDC8抗体を反応させたところCCDC8の発現が確認された。この免疫沈降法によりJMJD2AがCCDC8と複合体を形成することを明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究成果をまとめ、学術誌への投稿まで進展することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、以下の3つの検討を行う予定でいる。 1)免疫染色法により得られたデータをもとに、JMJD2Aの発現と胃癌の組織型による関係性を検討する。 2)また、5-FU,CDDP またはdocetaxel以外の抗癌剤においてもJMJD2Aが薬剤感受性に関与するのかを検討する。 3)そして、JMJD2A が制御する標的遺伝子であるCCDC8以外の候補遺伝子についても、薬剤感受性にどのように影響を与えるのか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度の未使用額と合わせて今年度の研究費を有効に利用し実験を進めることができた。次年度に、今後の研究を発展させるための定量的リアルタイムPCR解析用試薬、タンパク質発現解析用試薬、各種消耗品の購入を予定している。また、研究の進捗状況に合わせて、新たな培養細胞株の購入や細胞培養に用いる試薬・消耗品も随時購入する。
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