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2019 年度 実施状況報告書

肝細胞癌に対するCDK4/6阻害薬による抗腫瘍免疫誘導の基礎検討

研究課題

研究課題/領域番号 18K07944
研究機関長崎大学

研究代表者

中尾 一彦  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (00264218)

研究分担者 玉田 陽子  長崎大学, 病院(医学系), 助教 (70393460)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード肝癌 / CDK4/6阻害薬 / 細胞増殖抑制
研究実績の概要

ヒト肝癌細胞株として、RB遺伝子が正常のHuH-7、RB遺伝子が欠失変異しているHep3B、RB遺伝子は正常であるがCDK4/6阻害薬に抵抗性と報告のあるPLC/PRF/5を用いた。これらの培養細胞にCDK4/6阻害薬(palbociclib, abemaciclib)を添加し、細胞増殖抑(G1arrest)、RB蛋白の脱リン酸化、E2Fの活性低下の有無を確認した。HuH-7細胞において、CDK4/6阻害添加によりG1 arrest、RB蛋白の脱リン酸化、E2Fの活性低下が確認された。陰性コントロールであるHep3B細胞では、RB遺伝子が欠失しているにも関わらずCDK4/6阻害添加によりG1 arrestを認めた。しかし、RB蛋白の脱リン酸化、E2Fの活性低下は確認されなかった。PLC/PRF/5細胞では、HuH-7細胞ほどではないがG1 arrest、RB蛋白の脱リン酸化、E2Fの活性低下を認めた。HuH-7細胞において、Type III IFNの誘導をreal time PCR並びにELISAを用いて定量的に計測した結果、Type III IFNの産生が若干ながら確認された。real time PCRで肝癌細胞内のIFN誘導遺伝子(ISGs)の発現を確認したところ、PKRmRNAの上昇が認められた。一方、HuH-7細胞にCDK4/6阻害薬を添加し肝癌細胞表面のMHC class I/β-2MG発現をFlow cytometryで十数回にわたり確認したところ、ごく軽度の発現上昇に留まるものの、有意な変化を認めた。しかし、この軽微な変化が免疫学的意味を持つかは不明である。PDL-1,2発現変化については条件によって上昇と低下が見られ、さらなる検討を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

上述のように、HuH-7細胞にCDK4/6阻害薬を添加し、細胞表面のMHC class I/β-2MG発現をFlow cytometryで確認したところ、ごく軽度の発現上昇を認めたものの、この程度の変化が免疫学的に意味を持つか検討が必要であること、PDL-1,2発現変化は条件によって異なる発現パターンを示すことなど、予想と異なる結果が得られたことにより条件設定、再実験などに時間を要した。これら、肝癌細胞におけるMHCclass I/β-2MG発現とPDL-1,2発現に対して、CDK4/6阻害薬が影響を及ぼすか否かは、本研究課題の中心をなすものであり、上記3種類以外の肝癌細胞を用いた検討も行った。

今後の研究の推進方策

肝癌細胞におけるMHC class I/β-2MG発現とPDL-1,2発現にCDK4/6阻害薬が影響を及ぼすか否かは、本研究課題の中心をなすものであり、条件設定、抗体などを
見直し、有意かつ明らかな結果を得たいと考えている。上記3種類以外の肝癌細胞を用いた検討もさらに進めたい。肝癌細胞におけるMHC class I/β-2MG発現とPDL-1,2発現に対するCDK4/6阻害薬の影響が最も明らかな細胞を用いてin vivo実験にも着手準備中である。

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公開日: 2021-01-27  

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