研究課題
本研究は潰瘍性大腸炎関連発癌機序におけるサイトメガロウィルス(以下CMV)の役割を解明することが研究目標である。そのために、(1)マウスCMV感染マウスを用いた新規炎症性大腸癌モデルを作製し、CMV感染が炎症性大腸癌発症ならびに進展におよぼす関与、(2)ヒト炎症性大腸癌検体を用いて、癌周辺組織におけるCMVの存在と癌の進展との関与について検討すること、この2点を本研究の行動目標としている。(1)についてはTCR-αノックアウトマウスの腫瘍形成群において種々の予備的検討を行っている。腫瘍形成群の死亡率は腫瘍非形成群よりも高い傾向にあり、腫瘍性病変におけるIL-4、IL-13、IFN-γ、IL-17、さらに炎症性発癌に重要な役割を果たすTNF-αおよびIL-6の発現をReal time-PCR法を用いて検討している。(2)については、共同研究施設からヒト手術標本を収集し、腫瘍性病変(dysplasiaを含む)ならびに非腫瘍性粘膜に対し免疫染色を付し、CMV再活性化の有無について検討を行い、免疫染色で検出可能なCMV再活性化は認められないという知見を得た。(1)については、2019年度までに繁殖不良が目立ったTCR-α KOマウスの繁殖には成功したものの、Mouse CMV(以下MCMV)投与後の早期死亡が度重なった。飼料や衛生環境など飼育環境を適宜調整したが、期間内に検討に足るMCMV潜伏感染モデルの個体数を確保することが困難であった。潜伏感染モデルの増加を図った上で、今後、腫瘍形成の差異や炎症サイトカイン発現の差異などを検討する予定である。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
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