研究実績の概要 |
腫瘍間質は、がん関連線維芽細胞(cancer-associated fibroblast, CAF)、腫瘍血管内皮細胞(tumor endothelial cell, TEC)、種々の免疫細胞などから構成されている。腫瘍間質細胞はがんの増殖、浸潤および転移に有利な微小環境を構築することから、その制御は重要な治療戦略である。がん臨床検体から血管内皮細胞を分離し、RNA-seq解析を行うことでAEBP1の高発現を同定した。血管内皮細胞HUVECを用いた解析から、AEBP1発現ががん細胞との共培養やTGF-βによって誘導されること、そしてAEBP1が血管内皮細胞の増殖、遊走、in vitroチューブ形成を促進することを明らかとした。また大腸がんxenograftモデルを用いた解析から、AEBP1の阻害が腫瘍増殖や血管新生を抑制することが示された。さらにAEBP1がaquaporin 1やperiostinなど血管新生に関わる遺伝子発現を誘導することを明らかとした。これらの結果から、AEBP1が腫瘍血管の治療標的となりうることを報告した(Cancer Sci, 2020; 特願2018-146981)。
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