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2018 年度 実施状況報告書

肝がんにおける肝星細胞形質転換の意義

研究課題

研究課題/領域番号 18K07952
研究機関大阪市立大学

研究代表者

松原 三佐子 (佐藤)  大阪市立大学, 大学院医学研究科, 特任講師 (00635120)

研究分担者 松原 勤  大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20628698)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード肝がん / 肝星細胞 / がん微小環境 / 血管新生
研究実績の概要

肝硬変とは、肝実質が活性化された星細胞 (HSC) や筋線維芽細胞などの間質細胞で置換されてI型コラーゲンを主とする細胞外マトリックス物質が蓄積した慢性の線維化病であり、年率8%で肝がんが発生する。本研究室で発見されたサイトグロビン(Cytoglobin, CYGB)は肝内ではHSCにのみ特異的に発現しガス結合能を有するタンパク質であり、私たちはCYGB欠損が線維化・発がんに関与することを見出した。これは、CYGBの欠損によりHSCの活性化形質が変化した結果、酸化ストレス制御の喪失によりがんの発生や生育に至適な微小環境を提供したと考えられた。そこで本研究では、CYGB 欠損(KO)腫瘍形成モデルを活用し、CYGBの欠損が腫瘍形成にどのように影響を与えるかを検証した。そのために、まず同種マウスから樹立された肝がん細胞株(Hepa1-6)を脾臓から注入し肝臓へ移植する異種移植肝がんマウスモデルを作製し、およそ100%の確立で腫瘍形成を成功させるに至っている。このマウスモデルを用いてCYGB KOマウスと野生型マウスでの腫瘍形成能を比較したところCYGB KOマウスでは腫瘍形成数が増加し、腫瘍血管の成熟能が低下することが分かった。さらに、CYGBのKOマウスから樹立した初代マウスHSCを活性化後H2O2に暴露したところ、野生型HSCに比べ、内在性酸化ストレスの蓄積が上昇したことから、HSCはCYGBが消失することで酸化ストレスによるDNA損傷をより受けやすいことが示唆された。また本年度は、この腫瘍形成マウスモデルを用いてin vivo cDNAスクリーニングをするためにAAV6発現ベクターの作製を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の申請にはCYGBのKOおよび同腹野生型マウスへNormal water (NW)/Chow diet (CD)食与えた群を対照とし、Sugar water (SW)/Western diet (WD)食による、脂肪肝から線維化さらに一部の肝臓では肝がんに至るヒトNASHを最も再現したマウスNASHモデル(J Hepatology 2016;65:579-588)を作製し、CYGBの機能解析に活用する事を考えていた。しかし、このNASHモデルでは早期でマウスの体重減少が著しく腫瘍形成に至るまでに健康状態を維持することが困難だったため上記の異種移植肝がんマウスモデルに切り替えることになった。しかし、CYGB KOと野生型マウスとの腫瘍形成能に差が見られたため一年間の進捗状況としてはおおむね順調に進んでいると考える。

今後の研究の推進方策

今後、AVV6発現ベクターを用いてHSC特異的にCYGB遺伝子をノックインすることで病態が軽減し、このKO+AVV6-CYGB投与肝臓から抽出したmRNAの発現が減少することを確認する。さらに、AVV6発現ベクターのcDNAライブラリーの構築に着手する予定である。

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公開日: 2019-12-27  

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