研究課題
1.自己免疫性膵炎患者自己抗体の病態的意義の解析:自己免疫性膵炎患者の血清を抗ラミニン511-E8抗体陽性、抗インテグリンα6β1抗体陽性、両抗体陰性例にわけてマウスに投与して、IgG4関連疾患にみられる膵外病変が形成されるかどうかを検討した。その結果、短期(24時間)には抗ラミニン抗体陽性>抗インテグリン抗体の順に軽い胆管病変を認めたが、抗体陰性例では病変は認められなかった。一方、涙腺、唾液腺、腎臓については、いずれの群の血清も病変を形成しなかった。次に、中期の効果(14日)を見たところ、これも同様に抗ラミニン抗体陽性>抗インテグリン抗体陽性の順に、軽い胆管障害に加えて胆管にT, Bリンパ球、形質細胞の浸潤を認め、慢性胆管炎の像を示したが、抗体陰性例では病変を形成しなかった。また涙腺、唾液腺、腎臓にはいずれの群においても病変は形成されなかった。2.抗ラミニン抗体の有無による自己免疫性膵炎の臨床的解析:これまでの研究で、抗ラミニン抗体陰性例では、陽性例に比べて、膵炎のパターンが異なることに加えて、がん、アレルギー疾患の合併が多いことが明らかとなったが、今回の検討では、癌、アレルギー合併例の多くが抗インテグリンα6β1陽性例であり、両抗体陰性例ではとくに傾向は認めなかった。一方両抗体陰性11例中2例で潰瘍性大腸炎の合併が認められたが、これらは詳細な検討の結果、II型自己免疫性膵炎と考えられた。以上より自己抗体陰性のI型自己免疫性膵炎の一部にII型自己免疫性膵炎(非IgG4関連疾患)が含まれていることが判明した。
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