研究課題
B型肝炎ウイルス(HBV)のXタンパク(HBx)はユビキチンリガーゼCUL4-DDB1と複合体を形成し、増殖に抑制的に働く宿主因子をユビキチン化・分解することが示されており、新たな薬剤標的として注目されている。本研究では、HBV複製におけるユビキチン・プロテアソーム系の関与を包括的に理解することにより、新規抗ウイルス療法の開発を目標とする。昨年度は、HBxに特異的に結合する宿主因子の一つとして、DDX1(ATP-dependent RNA helicase DDX1)というDEAD-box型RNAヘリカーゼを同定した。本年度は本分子のHBxによるユビキチン化の有無とHBV増殖への関与を検討した。まず細胞内での検討ではHBxによるDDX1のタンパク発現量の減少やユビキチン化は確認できなかった。一方でHBxとDDX1との結合は確認され、HBxのトランス活性化ドメインの一部とDDX1のSPRYドメインが両者の結合に重要であった。さらにHepG2.2.15の内在性のDDX1のノックダウンではDDX1の発現低下とともにpgRNAとHBV-DNAが減少、逆にDDX1を発現させたところ、pgRNAとHBV-DNAが増加した。またDDX1のHBxと結合しない変異体はHBV複製を増強させなかった。以上より、DDX1はHBxと結合しHBVの複製に寄与している可能性が考えられた。来年度はその詳細な機序を検討する。
2: おおむね順調に進展している
本年度はHBxに結合する宿主因子であるDDX1がHBV複製を正に制御していることを示した。計画は順調に進んでいると思われる。
来年度は引き続きDDX1のHBV複製における役割の解析を継続する。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件)
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