研究課題/領域番号 |
18K07963
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永江 玄太 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (10587348)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肝癌 / DNAメチル化 / 微小環境 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、肝癌臨床組織を構成する癌細胞および非癌細胞の組成比率を系統的エピゲノム情報を用いて明らかにし、癌微小環境の病態理解や癌免疫治療の戦略を考える上での基盤的解析手法を確立することにある。ここ数年、癌組織に浸潤する免疫細胞集団を定量すべく遺伝子発現情報を用いた様々な予測手法が提案されてきたが、依然精度が十分とはいえない。そこで、化学的に安定な修飾であり、かつ細胞系譜に特異的に変化するDNAメチル化情報を用いた高精度な推定法を確立し、この手法を肝癌臨床組織に応用する。具体的には、以下の項目について明らかにすることを目的とする。 ①肝癌臨床組織に含まれる非癌細胞の各種細胞構成比率と癌細胞の純粋なメチル化情報 ②肝癌組織微小環境における免疫プロファイルと、癌細胞での遺伝子異常との関連性 ③癌細胞含有率の少ない癌臨床組織への応用可能性
初年度の目標は、肝癌組織の構成細胞比率定量法の確立とした。癌組織における腫瘍細胞のみの含有率を推定する方法は、ゲノム変異解析の変異アリル頻度を用いる手法がいくつか確立されている。DNAメチル化情報を利用した腫瘍含有率推定も提案はされているが、精度が十分でないため、本研究課題では推定に有用な独自のプローブ選択を行い、精度の向上を図った。各種細胞特異的なメチル化領域を抽出を行い、これを用いた細胞の構成比率の予測を行った。ゲノム変異解析におけるアリル頻度比から推定した癌細胞の含有率との比較検討も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標は、肝癌組織の構成細胞比率定量法の確立とした。癌組織における腫瘍細胞のみの含有率を推定する方法は、ゲノム変異解析の変異アリル頻度を用いる手法がいくつか確立されている。DNAメチル化情報を利用した腫瘍含有率推定も提案はされているが、精度が十分でないため、本研究課題では推定に有用な独自のプローブ選択を行い、精度の向上を図った。各種細胞特異的なメチル化領域を抽出を行い、これを用いた細胞の構成比率の予測を行った。ゲノム変異解析におけるアリル頻度比から推定した癌細胞の含有率との比較検討も行った。
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今後の研究の推進方策 |
血管内皮細胞、繊維芽細胞、血球細胞(好中球、Tリンパ球、Bリンパ球、好酸球、マクロファージなど)のプロファイルは取得済みであるが、より頻度の低いレアポピュレーションの予測を行う上ではさらなる精度の向上が必要である。 臨床組織における検証では、一細胞発現解析の結果とも比較検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は次年度で行う実験系の準備のためのデータ解析を優先し、細胞生物学的実験に必要な消耗品費用を次年度に使用する予定とした。
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