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2018 年度 実施状況報告書

脂肪肝が肝内胆管発癌に及ぼす影響:新規マウスモデル樹立と発癌機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K07968
研究機関岐阜大学

研究代表者

白上 洋平  岐阜大学, 大学院医学系研究科, 助教 (50632816)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード肝内胆管癌 / 脂肪肝
研究実績の概要

肥満および脂肪肝を呈するdb/dbマウスに対して、大腸癌誘発剤 azoxymethaneを投与する大腸発癌モデルを用いた研究を行ってきた中で、肝内の細胆管異形成および胆管細胞癌の所見が見出された。本年度は、db/dbマウスとazoxymethaneを用いて同様に行った実験における肝内胆管病変の再現性を確認するとともに、対照群として肥満・糖尿病を呈さない野生型マウスにもazoxymethaneを投与し、それらの比較を行った。
予備的実験結果と同様に、db/dbマウス群では肝臓において肥満に起因する脂肪肝のほかに、細胆管の増殖性変化および異形成が確認された。異形成は前癌病変と考えられたほか、胆管細胞癌の所見も認められた。これら病変はCK19免疫染色を用いて胆管由来であることが確認された。対照群では肝脂肪化はみられず、肝内に軽度の炎症所見と細胆管の増殖性変化はあるものの、異形成や前癌病変は認められなかった。肝内胆管病変の発生率と面積はdb/dbマウス群で有意に高値であった。また血清の解析では、db/dbマウス群において、肝障害と脂質異常、高血糖を認めるとともに、酸化ストレスの指標であるdROMが有意に高値であった。さらに、肝組織でのmRNA発現の比較において、db/dbマウス群で炎症性サイトカインが高値であるほか、insulin-like growth factor (IGF) シグナル経路に関連するIGF mRNAも発現が有意に亢進していた。これらの実験結果から、肝脂肪化の進展による慢性炎症が、胆管の増殖性変化を促進し肝内胆管癌の発生に寄与する可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、研究期間中の実験計画通り、肝内胆管病変の再現性確認と対照群との比較を行い、脂肪肝が肝内胆管癌の発生に寄与する可能性を示すことができた。

今後の研究の推進方策

野生型に高脂肪食を給餌する「遺伝子変異を有さない肥満」群を設定し、db/dbマウスと比較することで、本実験系の発癌メカニズムに、肥満を基盤としたメタボリック症候群および肝脂肪化が主に寄与しているのか、あるいは極端なアディポカイン不均衡などdb/dbマウスに特徴的な代謝異常が関与しているのか検討する。また、胆管癌の発癌剤として既報にある thioacetamideを併用することで、病変の早期発生や腫瘤形成、浸潤、転移を来たす可能性についても検証する。

次年度使用額が生じた理由

今年度は、特に細胞実験に関しては準備段階であり、来年度における詳細な実験のために費用が増加することが予想される。そのため、次年度への繰り越しが生じた。
主な支出は実験動物の管理と試薬の購入が考えられる。
その他、研究成果発表のため、国内外での学会参加旅費に充てられる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] Effects of fatty liver on development of intrahepatic cholangiocarcinoma2018

    • 著者名/発表者名
      白上洋平、加藤潤一、水谷 拓、河内隆宏、境 浩康、富田弘之、田中卓二、清水雅仁
    • 学会等名
      第77回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] 核内受容体とそのリガンドの医学2018

    • 著者名/発表者名
      白上洋平、境 浩康、清水雅仁
    • 学会等名
      第29回日本レチノイド研究会学術集会
  • [学会発表] Non-alcoholic steatohepatitis-related hepatocarcinogenesis is suppressed in mice lacking hepatic retinoid storage2018

    • 著者名/発表者名
      Yohei Shirakami, Takayasu Ideta, Hiroyasu Sakai, Takuji Tanaka, Masahito Shimizu, Mitsuru Seishima
    • 学会等名
      Asian Pacific Association for the Study of the Liver Single Topic Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] Antidiabetic agents for cancer prevention2018

    • 著者名/発表者名
      Yohei Shirakami, Junichi Kato, Taku Mizutani, Takahiro Kochi, Hiroyasu Sakai, Masahito Shimizu
    • 学会等名
      The 14th Japan-Korea Joint Symposium on Cancer and Ageing Research
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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