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2019 年度 実施状況報告書

抗HCV薬リバビリンの中性脂肪合成抑制機序の解明とリバビリンに代わる薬剤の探索

研究課題

研究課題/領域番号 18K07972
研究機関岡山大学

研究代表者

佐藤 伸哉  岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (80333558)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードリバビリン / C/EBPα / GPAM / 中性脂肪 / トリグリセリド合成
研究実績の概要

肝細胞での中性脂肪合成の亢進は脂肪肝、肝がんの発症リスクを高める。我々はC型慢性肝炎治療薬の一つであるリバビリンが中性脂肪合成を抑制することを以前見出した。本研究では、その機序に関わる転写因子C/EBPαに着目した。初年度において、C/EBPαの下流因子としてリバビリンの中性脂肪合成抑制に最もリンクする遺伝子の一つとしてトリグリセリド合成酵素遺伝子GPAMを同定した。そして、リバビリンによりC/EBPαタンパク質の分解が亢進し、下流遺伝子のGPAMの発現が減少することが、細胞内の中性脂肪量低下に寄与することを明らかにした。本年度は、まずGPAMゲノムにおけるC/EBPα応答領域を同定することに取り組んだ。ChIP-Atlasなどのデータベースを駆使して、GPAM上流遠位に2箇所の候補となるC/EBPα応答領域を見出した。そして、それら遠位のゲノム領域をクローニングしレポーターアッセイを行い、C/EBPαの候補結合配列を同定した。さらに、ゲルシフトアッセイによりC/EBPαがそれら配列に結合すること示すことができた。現在、それら候補配列のゲノム上におけるC/EBPαに対する応答性を調べるために、候補応答配列ゲノム領域を欠失したHuH-7肝がん細胞由来クローン細胞をCRISPER/Cas9システムにより作成している。
また、C/EBPαのタンパク質分解を制御するキナーゼを同定することを目的に実験を行った。C/EBPαのタンパク質の量を簡易的にモニタリングできる細胞アッセイ系(当研究室で作成)を用いた。Kinase screening libraryを用いてスクリーニングを行ったところ、あるキナーゼの阻害剤においてC/EBPαタンパク質の量の低下が観察された。
得られた結果は中性脂肪合成阻害剤を探索、同定する上で有用な知見となりうる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

C/EBPαによるGPAM発現制御機序は複雑であったが、遠位の制御領域(転写開始点より数10 kb上流)を発見することができた。その領域の細胞内でのC/EBPα応答性への寄与を明らかにしたいと考えている。この制御領域を指標にした細胞アッセイ系を構築するまでには至らなかった。
薬剤スクリーニングにより、あるキナーゼがC/EBPαタンパク質の量を制御する可能性を見出すに至り、中性脂肪合成系における役割を明らかにしたい。

今後の研究の推進方策

リバビリンによるC/EBPαのタンパク質分解に関わる因子の同定、およびC/EBPαのGPAM遺伝子発現制御機序についてさらに進める。GPAM遺伝子発現制御については、特定できたC/EBPα作用領域の細胞内における寄与をCRISPER/Cas9システムによるゲノム編集技術を用いて解析する。そして、GPAM遺伝子の発現制御に関わるシス因子(ゲノム上の塩基配列)を標的にした細胞アッセイシステムを構築する。さらには、その細胞アッセイシステムを用いて中性脂肪合成阻害剤の探索に取り組む予定である。
C/EBPαタンパク質の量を制御する候補キナーゼについて、そのキナーゼのC/EBPαへの作用様式、中性脂肪合成経路における役割について明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

節約を心掛けたのと、二年目の研究計画がやや遅れたために、次年度使用額が生じた。次年度使用額で、CRISPER/Cas9システムによるゲノム編集ツールを用いたゲノムエンハンサー領域の解析などに用いていきたいと考えている。さらには、当該年度以降分として請求している助成金とも合わせ、特に中性脂肪合成阻害剤開発のための細胞アッセイシステム構築に必要な試薬、およびスクリーニングに用いる薬剤ライブラリー、スクリーニングに伴う試薬、C/EBPαタンパク質の量を制御するキナーゼの分子生物学的解析に必要な試薬、cDNAマイクロアレイ解析、初代ヒト肝細胞などの購入に充てたいと考えている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 抗HCV薬リバビリンによるGPAM発現抑制機序の解析2019

    • 著者名/発表者名
      小野村大地, 佐藤伸哉, 上田優輝, 団迫浩方, 加藤宣之
    • 学会等名
      第3回中性脂肪学会
  • [学会発表] 抗ウイルス薬リバビリンによる転写因子C/EBPαタンパク質の分解亢進は細胞内中性脂肪量を低下させる2019

    • 著者名/発表者名
      佐藤伸哉, 小野村大地, 上田優輝, 団迫浩方, 本多政夫, 金子周一, 加藤宣之
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 抗HCV薬リバビリンによるGPAM発現抑制機序の解析2019

    • 著者名/発表者名
      小野村大地, 佐藤伸哉, 上田優輝, 団迫浩方, 加藤宣之
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会

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公開日: 2021-01-27  

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