研究課題
KRAS変異型大腸癌に有意に高発現する膜結合性タンパクに対する抗体:抗MBP-X抗体をリポソーム表面に結合させたリポソームを担体とし、内部にsiKRASを内包した新規リポソームである①siKRAS-MBP-X-LPの他、コントロールとして表面にIgGを結合した②siKRAS-IgG-LP、非特異的siRNAのコントロール(siNT)を内包した③siNT-MBP-X-LP、④siNT-IgG-LPの4種類のリポソームを作成した。作成したリポソームがKRAS変異型大腸癌細胞の表面へ集積・結合することを、蛍光免疫染色やフローサイトメトリーにより確認するとともに、癌細胞中のKRASタンパクの発現が抑制されることを確認した。4種類のKRAS変異型大腸癌細胞株を用いた細胞増殖抑制効果の検討において、①siKRAS-MBP-X-LPが、他のリポソームに比べ、より強い細胞増殖抑制効果を示した。さらにKRAS変異を高頻度みとめる膵癌細胞に対しても同様の実験を行い、リポソームの膵癌細胞への集積・結合とともに、膵癌細胞のKRAS遺伝子の発現を抑制することに加え、①siKRAS-MBP-X-LPが膵癌細胞増殖を抑制することも確認した。
3: やや遅れている
作成したリポソームは保存により、リポソーム表面に結合した抗体や内包したsiRNAの親和性が低下するため、頻回にリポソームを作成しないといけないため、その作成に時間を要した。
リポソームの機能を安定化させるために、頻回のリポソーム作成が必要となってくるため、実験のスピード感が極めて大切である。現在、4種類のKRAS変異型大腸癌細胞株と2種類の膵癌細胞株に対して投与実験を行っているため、短時間かつ効率よく実験を行うことが重要である。今年度は、マウスへの投与実験を行うため、癌細胞のマウスへの移植・生着後、速やかに実験を開始することが重要である。
抗体結合型PEG化siRNA内包リポソームの保存可能期間が限定されるため、リポソームの作成が頻回に必要である。共同研究者が他の研究で時間をとられているため、リポソーム作成の作成・安定供給に時間を要しため、次年度使用額が生じた。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 5件)
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