研究課題/領域番号 |
18K07980
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
柿坂 啓介 岩手医科大学, 医学部, 講師 (40583563)
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研究分担者 |
鈴木 悠地 岩手医科大学, 医学部, 助教 (00779332)
滝川 康裕 岩手医科大学, 医学部, 教授 (50254751)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 活性酸素種 / MLKLリン酸化 / Hemoxygenase-1 |
研究実績の概要 |
昨年、培養肝細胞にてフルクトース環境下で不飽和脂肪酸が活性酸素産生を介してカスパーゼ非依存性細胞死を惹起していることが明らかとなった。Nアセチルシステインを併用した場合、その細胞死が抑制できることも明らかにできた。本年度はさらに、詳細な細胞内シグナル伝達を明らかにするために、MLKLのリン酸化を確認した。フルクトース環境下で不飽和脂肪酸を投与するとリン酸化MLKLの発現が亢進した。 免疫組織化学染色で評価したところ、スクロース添加高脂肪食摂餌マウスでも、高脂肪食単独摂餌マウスと比較してリン酸化MLKLの発現が亢進していた。更に活性酸素種の産生により発現が亢進するHemoxygenase-1もスクロース添加高脂肪食摂餌マウスで発現が亢進していた。 更に、非アルコール性脂肪性肝疾患患者の肝生検検体でリン酸化MLKL、Hemoxygenase-1の発現を評価したところ、リン酸化MLKL陽性細胞率とHemoxygenase-1陽性細胞率は正の相関関係があった。非アルコール性脂肪性肝疾患患者の肝臓でも活性酸素種の産生とMLKLリン酸化が関連していることが明らかとなった。 MLKLのリン酸化がフルクトース環境下の不飽和脂肪酸による細胞死、スクロース添加高脂肪食の肝臓、非アルコール性脂肪性肝疾患患者の肝生検検体のうちHemoxygenase-1高発現領域にそれぞれ関連していることが明らかとなった。MLKLリン酸化がネクロプトーシスのシグナルであったため、培養肝細胞を用いてRIPK1阻害剤(ネクロスタチン)を投与したが、フルクトース環境下不飽和脂肪酸による細胞死は抑制できなかった。 MLKLリン酸化の詳細な機序については今後さらに検討が必要である。
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