研究実績の概要 |
膵癌の治療の困難さの要因の主なものとして、1)豊富な間質との相互作用による強力な癌進展促進と2)癌組織の多様性が挙げられる。そこで、進行膵癌症例に対する画期的な治療法の確立を最終目標に、①膵癌幹細胞と非癌幹細胞の両者共通となる治療標的分子を同定し、②その分子治療がPeriostinの直接的な膵癌細胞への進展促進的な作用とともに、間接的な Tumor associated macrophage の誘導などを介した癌進展機構を誘導しないか検証することが本研究の目的である。本年度は、膵癌幹細胞と非膵癌幹細胞に対する治療効果のある物質や分子の同定するために、Patient-derived xenograft(PDX)の作製を行った。膵癌手術検体の一部を細切し、免疫不全マウス(NOD/Shi-scid, IL-2γnull, NOGマウス)の皮下に移植する。PDX腫瘍は継代可能であり、NOGマウスの数だけ、PDX腫瘍を得ることが可能である。5代以上継代を経ても同様の組織系を呈することを確認している。現在継代を続けている段階である。これらのPDX細胞にPKM2のショートヘアピンRN(shRNA)を導入し、PKM2発現抑制細胞を作成し、その抑制細胞をNOGマウス皮下に移植して増殖した細胞を膵癌幹細胞として実験に用いる予定としている。現在膵癌細胞の増殖を最も効率よく抑制するショートヘアピンRNAを作製するための基礎実験を行っており、ショートヘアピンンの配列を検証しているところである。
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