M2型のピルビン酸キナーゼ(PKM2)の発現を抑制すると膵癌では非癌幹細胞から癌幹細胞特有の代謝経路にスイッチする。本研究はPKM2発現抑制細胞を膵癌幹細胞の性質を持つ細胞として実験に用い、癌幹細胞と非癌幹細胞の共通の標的となり、かつ、間質のPOSTNの働きに影響を与えない分子治療の開発を目指すことを目的に行った。PKM2発現抑制細胞をNOGマウス皮下に移植し、そこで増殖した細胞を膵癌幹細胞として用いる。膵癌幹細胞と非膵癌幹細胞の両者で発現亢進のみられる遺伝子や分子をcDNAマイクロアレイ、MicroRNA (miR) アレイやメタボローム解析にて同定を試みた。しかし、PKM2発現抑制細胞の腫瘍増殖能が著しく遅いために解析が困難であった。しかし、in vitroにおいてPKM2発現抑制細胞の解析により、スペルミジンシンテターゼ(SRM)が減少、スペルミンの分解に関わるスペルミジン/スペルミンN1‐アセチルトランスフェラーゼ1(SAT1)の発現上昇を確認した。
|