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2019 年度 実施状況報告書

肝癌惹起性HBx変異の存在下で形成される腫瘍微小免疫環境の解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K07984
研究機関近畿大学

研究代表者

萩原 智  近畿大学, 医学部, 講師 (40460852)

研究分担者 工藤 正俊  近畿大学, 医学部, 教授 (10298953)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード肝癌惹起性HBx変異 / 腫瘍微小免疫環境
研究実績の概要

HBVの慢性持続感染症例に対して、核酸アナログ製剤が導入され、肝発癌が抑制されることが明らかになった。しかしながら、HBV関連肝癌の割合は依然として、肝癌全体の約15%を占めており、減少傾向を示していない。外科的切除術やラジオ波焼灼術がHBV関連早期肝癌に対する根治療法として用いられるが、HBV関連進行肝癌に対する根治療法は開発されていない。HBV関連肝癌の約20%が進行期に発見されることを考えると、HBV関連肝癌の新規治療法の開発が期待される。HBV関連肝癌に対する新規治療法の開発のためには、病態生理の理解が不可欠である。 HBV関連発癌はHBV(ウイルス)側の病原因子と宿主側の因子がお互いに影響を及ぼしあって、発症すると考えられている (Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2015;12:681-700) 。HBVはDNAウイルスであり、宿主のゲノムDNAに組み込まれて発癌作用を引き起こすと想定されている。HBx遺伝子(HBx)はHBV-DNAのなかで最も高頻度に肝癌において検出される。また、本邦のHBV関連肝癌ではHBxの遺伝子変異(C1485TおよびC1653T変異)が肝癌の発症に関わることが知られている (J Hepatol 2006;45:646, J Hepatol 2006;45:805)。しかしながら、HBxC1485TおよびC1653T変異がHBV関連発癌を引き起こすメカニズムは解明されていない。申請者らは新規に樹立したHBxC1485T強制発現マウスは実験肝癌に対する感受性が高いことを報告した。このように、HBxC1485T変異をウイルス側因子として同定したが、HBxC1485T変異が惹起する宿主側の反応は未解明である。そこで、本研究ではHBxC1485T変異の存在下に誘導される腫瘍微小免疫環境を解明し、HBV関連発癌の新規治療標的の同定を目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

HBx遺伝子導入発癌モデルマウスにおいてPD-1抗体とLenvatinib併用療法は、各々単独療法と比較して有意に腫瘍増殖を抑制していることを確認した。また腫瘍抑制されていなかった群と比較すると、TAMsやMDSCsの細胞数が抑制されており、抗腫瘍効果の要因の一つと考えられた。NOD1, NOD2欠損マウスを用いた肝癌モデルでは、NOD1あるいはNOD2の欠損下では肝癌が著明に増殖することが判明した。

今後の研究の推進方策

マウスの肝臓の自然発がんモデルでは、腫瘍の発育が遅く、1年程度かかるため、LenvatinibとPD-1抗体の効果確認に予想外の時間がかかった。そのため今後は発がんの時間を勘案した上で、併用療法が肝癌の発育に対する効果をXenograftなどの実験系を用いて検証を行うことも考慮していく。

次年度使用額が生じた理由

一部の試薬をキャンペーン価格で購入したため、計画時よりもやや使用額が減ることとなった。

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公開日: 2021-01-27  

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