研究課題
研究の目的に沿って3つのテーマの研究中である①肝線維化・脂肪化超音波診断法が肝生検に替わる定量的診断法になり得るか?に対し、肝線維化に関しては論文報告が終了し、どの機器を用いても同等の線維化診断が可能となった。Hepatol Res. 2019 Jan 24 。病理診断も診断医間の差もあり肝硬度により肝線維化診断を行うことが侵襲的診断法を回避できる方法として確立された。脂肪減衰法に関しては、肝組織の脂肪化の程度と現行の減衰法とし薬事承認されたCAP法との比較に関する検討を行い現在論文投稿中である。②減衰法による脂肪量の定量化の確立を目指し、脂肪肝からNASH高リスク群を判定できるかの検討を行う?に対し、現在、 C型慢性肝炎SVR後の発癌に関しての臨床的検討を行っている。脂肪化の定量化を目指し現在モデルラットを作成し組織との対比を行い検討中である。さらに粘性に関しては粘性ファントムを作成し弾性、粘性の両面から脂肪減衰に及ぼす影響を検討中である。問題点としてはラット肝が人と比較し薄いことにある、現在研究協力者とともに実験の信頼性に関し検討中である。③超音波診断法と電子顕微鏡学的検討により発癌リスクに迫れるか?に対し現在組織標本および電子顕微鏡標本を蓄積中である。今年は先行して①、②の検討を行ったため③の検討が若干遅れている。①に関しての検討がほぼ終了しており今後は②、③の検討に傾注する予定である。
2: おおむね順調に進展している
研究計画の①肝線維化・脂肪化超音波診断法が肝生検に替わる定量的診断法になり得るか?と②減衰法による脂肪量の定量化の確立を目指し、脂肪肝からNASH高リスク群を判定できるかの検討を行う?の検討を行い、論文報告が終了したため、研究は当初の計画以上に進んだ。このため③の検討が若干遅れている。今後は超音波診断法と電子顕微鏡学的検討により発癌リスクに迫れるか?についての研究を中心とし遂行するとともに①、②に関してもさらにデータの集積を行い研究を行う予定である
研究の計画の変更は無い。今後SVR後の発癌に関しても同様に脂肪化との検討が必要と考えるが、脂肪肝からNASH高リスク群を判定できるか?に関しては、脂肪肝症例の中に軽度の線維化進行例が存在するがこれらの症例の電子顕微鏡学的検討を行いオルガネラおよび肝非実質細胞および線維化の程度の検討を行う。現在は組織を蓄積中で有り、平成31~令和2年度前半までに詳細の検討を行いたい。研究目的①は順調に論文化に至ったが、これに追加して今後、東芝メディカル(現キヤノンメディカル)との共同開発装置による定量法の検討で、研究協力者との検討で線維化に続いて脂肪化の精度計測用ファントムが完成し、各機種間格差についての検討を行いたい。予定通り、本法は広く普及している超音波装置に実装できるため汎用性が高く、日本発の診断法として海外への普及も期待される。この件に関しては日本超音波医学会脂肪肝診断基準作成委員会との共同研究も予定している。
平成30年度は上記の通り、臨床データの解析を行い、米国肝臓学会AASLDでの報告および論文化を先行して行ったため、ラット実験ならびに電子顕微鏡における研究が平成31年度になったため支出合計に変更が生じた。研究計画に変更は無いため平成31年、令和2年度に遂行予定である。
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