研究実績の概要 |
本邦においてヘリコバクターピロリ感染の低下と慢性萎縮性胃炎の減少に伴い、胃食道逆流症(GERD)が増加している。GERDは食道扁平上皮の円柱上皮化であるバレット食道発生を惹起し、これを発生母地として食道腺癌が発生する。よって食道腺癌を抑制するにはバレット食道発生を抑制することが重要であるが、発生機序は未だ明らかとなっていない。これまでの研究で、バレット食道に肥満と酸化ストレスの関与が報告されてきた。本研究は肥満が酸化ストレス制御の重要な因子であるNrf2-keap1に与える影響を検討しバレット食道発生メカニズムを解明することである。
今年度は3D cultureモデル作成を中心に実験を行った。 ヒト不死化食道扁平上皮細胞 (NES-B3T, NES-B10T)とヒト不死化食道線維芽細胞(BEF-hT)を使用した。コラーゲンゲル内での線維芽細胞の3D培養は問題なかったが、扁平上皮細胞を安定的に層状培養することが困難を極めた。この3DモデルpH5.5, 0.4 mM酸性胆汁酸を投与し、肥満関連ホルモン;adipokineである10 ng/mL leptinを投与し上皮層の変化を観察したが、leptinの有無で明らかな差を認めなかった。
動物モデルを用いた検討: 8週齢・雄ラットを用いて慢性逆流性食道炎モデルを作成し、高肥満食を投与し8週間飼育したが、長期の生存が得られなかった。また死亡した時点で、下部食道の固定標本を作成し円柱上皮化を観察したが、高肥満色の有無で明らかな差を認めなった。
|