本研究の目的は食道腺癌のリスクファクターであるバレット食道が、肥満とGERDが協調して酸化ストレスを増強し促進されることを示すことである。ラットを用いた検討では肥満関連ホルモンのレプチンがGERDによる粘膜傷害を惹起するT細胞の粘膜内浸潤とTNF-aなどの炎症性サイトカイン分泌を増加させることで食道粘膜傷害を増悪させた。しかしレプチンは酸化ストレスを制御するNrf2-keap経路に直接的な影響を及ぼさなかった。さらにBMI増加は食道粘膜防御機能に影響を与えなかった。肥満による食道潰瘍の増悪がバレット食道発生を促進させ食道腺癌の関与するが、食道防御機能の低下には関与しない可能性が示唆された。
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