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2019 年度 実施状況報告書

B型肝癌制御におけるNKG2Dリガンドの役割とHBVによる回避機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K07996
研究機関千葉大学

研究代表者

室山 良介  千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (50549459)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードB型肝炎ウイルス / 肝細胞癌 / NKG2Dリガンド / 自然免疫システム
研究実績の概要

B型肝癌に対する自然免疫システムの役割を明らかにするため、公共のデータベースからB型肝癌患者の癌部・非癌部のRNA-seqデータを入手し、解析を行った。癌部にて発現変動を認めた遺伝子を用いてco-expression networkを構築したところ、癌化との関連が示唆される16個のmoduleが同定され、その中には54個のhub geneが含まれていた。さらなる解析を行ったところ、up-regulateされたmoduleにはcell cycleに属する遺伝子が、down-regulateされたmoduleにはimmune response、inflammatory response、catabolic processに属する遺伝子が関連することが判明した。また、NKG2Dリガンドのvariantにつき検討したところ、N端が欠如したMICAが発現していることが示唆された。そこで完全長とN端欠如のMICAを個別に定量可能なreal-time PCRの実験系を構築し、肝癌細胞株で検討したところ、実際にN端欠如のMICAが発現していることが確認された。次に、完全長、N端欠如のMICAを発現するベクターを構築して肝癌細胞株に導入し、ウェスタンブロットを施行したところ、両者間でバンドのパターンが異なっており、翻訳後修飾に差異が生じている可能性が示唆された。MICAの翻訳後修飾としては糖鎖修飾が報告されており、また糖鎖修飾と膜発現との関連性が示唆されている。以上のことより、今後、完全長、N端欠如のMICAにつき、糖鎖修飾や細胞膜への発現量の差異などの機能的解析を行っていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

公共のデータベースからB型肝癌患者の癌部・非癌部のRNA-seqデータを入手し、まず癌部にて発現変動を認めた遺伝子を同定した。その後、同定された遺伝子を用いてco-expression networkを構築したところ、癌化との関連が示唆される16個のmoduleが同定され、その中には54個のhub geneが含まれていた。さらなる解析を行ったところ、up-regulateされたmoduleにはcell cycleに属する遺伝子が、down-regulateされたmoduleにはimmune response、inflammatory response、catabolic processに属する遺伝子が関連することが判明した。また、NKG2Dリガンドのvariantにつき検討したところ、N端が欠如したMICAが発現していることが示唆された。そこで完全長とN端欠如のMICAを個別に定量可能なreal-time PCRの実験系を構築し、肝癌細胞株で検討したところ、実際にN端欠如のMICAが発現していることが確認された。次に、完全長、N端欠如のMICAを発現するベクターを構築して肝癌細胞株に導入し、ウェスタンブロットを施行したところ、両者間でバンドのパターンが異なっており、翻訳後修飾に差異が生じている可能性が示唆された。

今後の研究の推進方策

本年度のco-expression networkを用いた解析により、B型肝癌との関連が示唆される16個のmoduleと54個のhub geneが同定された。hub geneの中にはimmune responseに属する遺伝子が多く含まれており、このことはB型肝癌に自然免疫システムが深く関与していることを示唆しているものと考えられた。またRNA-seqデータより、N端が欠如したMICAの発現が示唆され、実際に培養細胞株中での発現も確認された。その後、完全長、N端欠如のMICAを発現するベクターを構築して肝癌細胞株に導入し、ウェスタンブロットを施行したところ、両者間でバンドのパターンが異なっており、翻訳後修飾に差異が生じている可能性が示唆された。MICAの翻訳後修飾としては糖鎖修飾が報告されており、また糖鎖修飾と膜発現との関連性が示唆されている。以上のことより、今後、完全長、N端欠如のMICAにつき、糖鎖修飾や細胞膜への発現量の差異などの機能的解析を行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、B型肝癌に対する自然免疫システムの役割を明らかにするため、主にB型肝癌患者の癌部・非癌部のRNA-seqデータを用いて網羅的解析を行った。その際、RNA-seqデータを公共のデータベースより入手したため、特に物品費等の支出を必要とすることなく、研究を推進することができた。次年度は、本年度までの研究成果に基づき、B型肝癌の制御に重要な役割を果たしているMICAなどのNKG2Dリガンドにつき、さらなる解析を行っていく予定である。そのためには、PCR、クローニング、トランスフェクションなどの消耗品を購入する必要があり、次年度の予算は、これらの購入に使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] NGSデータを用いた網羅的ゲノム解析による肝癌関連遺伝子の探索2019

    • 著者名/発表者名
      室山良介、神﨑洋彰、加藤直也
    • 学会等名
      第55回日本肝臓学会総会
  • [学会発表] Identification of modules and hub genes associated with HBV-HCC by gene co-expression analysis2019

    • 著者名/発表者名
      Ryosuke Muroyama, Hiroaki Kanzaki, Tetsuhiro Chiba, Masato Nakamura, Shingo Nakamoto, Hiroshi Shirasawa, Naoya Kato
    • 学会等名
      International HBV meeting
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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